本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.3.7

貴族的階級と僧的身分

現在の「世界的な金融混乱」については、「暴力政策に対する貨幣の敗北」という、今から100年ほど前の「シュペングラーの予言」のとおりの状況とも思われるが、実際には、「中央銀行の創設以来、大膨張を続けた世界のマネーが、最終段階で、デリバティブのバブルを発生、そして、崩壊させている状況」のことである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降の「信用本位制とでも呼ぶべき通貨制度」において、「デジタル通貨と金融商品の急激な成長により、グローバル共同体が形成された状況」のことである。

そのために、今後の展開についても、「シュペングラーの予言」が気になる状況でもあるが、この点については、「マネーの歴史」と「文明法則史学」を加味することにより、より正確な予想が可能なものと感じている。具体的には、「貴族的階級と僧的身分」という「シュペングラーの説明」を理解することでもあるが、実際には、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊」以降、「共同体の規模が、時間と空間との関係性において、どのような発展を繰り広げたのか?」を理解することである。

より詳しく申し上げると、「西ローマ帝国の崩壊」は、それまでの「貴族的な社会生活」に慣れ親しんでいた人々が、「貨幣の実質的な消滅」に見舞われたことにより、「価値観の変化」を強制された状況だったものと思われるのである。別の言葉では、数十年、あるいは、数百年という時間をかけて、徐々に、「僧的な精神生活」に慣れ親しんでいった可能性のことである。

そして、この時の注目点は、「共同体の規模拡大」における推進力でもあるが、最初は、「宗教などによる精神面でのレベル向上」であり、実際には、「日本の奈良時代や平安時代に、貴族や公家という階級が誕生し、神社仏閣の建立に励んだ展開」のような状況のことである。また、その後の「西暦1200年から2000年までの西洋の時代」においては、「物質文明」が発展するとともに、現在では、「先進各国で、ほとんどの人々が、かつての王侯貴族のような生活水準を享受している状況」とも言えるのである。

そのために、今後の展開としては、最初に、「デリバティブのバブル崩壊」に驚愕した人々が、慌てて、「換物運動」に走り出すことにより、世界的な「ハイパーインフレ」や「グローバル共同体の分裂」が発生するものと考えている。ただし、その後の注目点としては、「歴史の繰り返し」に関して、「11次元にまで進化した自然科学」の応用により、「社会科学の次元が、どこまで向上するのか?」が、大きなカギを握っているものと感じている。