本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.3.21
3月の世界的な金融混乱
今回の「米国の銀行破たん」と「クレディスイスの救済買収」は、私が想定していた「金融ツインタワー崩壊の始まり」を表すとともに、「今後の更なる金融破たん」を象徴する出来事だったものと感じている。つまり、「戦後の26年サイクル」が指し示す「2023年8月15日」に関して、予兆的な事件が発生したことにより、「これからどのような破たんが発生するのか?」が気にかかる状況とも思われるのである。
より詳しく申し上げると、今回の「世界的な金融混乱」に関しては、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」と「1980年台初頭から始まったデリバティブの大膨張」が、根本的な原因とも言えるのである。具体的には、「2008年前後にピークを付けたデリバティブの残高」であり、また、その後の「量的緩和という名のリフレーション政策」のことだが、現在では、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」が、パンケーキクラッシュと呼ぶべき状況で破たんを始めているのである。
別の言葉では、「G―SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)」を中心にして、今まで、「デリバティブを利用した市場価格のコントロール」が実施されてきた状況でもあったが、現在では、「インフレ率と金利の上昇により、全てが逆回転を始めた段階」とも言えるのである。つまり、「人類史上、初めての出来事」である「通貨と金(ゴールド)の分離」が産み出した「大量のマネー創造」により、現在の世界は、「1600年前の西ローマ帝国崩壊以来の危機的な事態」に見舞われているものと考えられるのである。
より具体的には、「貨幣の歴史」において、「1600年前から増えてきたマネーの残高」が、「100年ほど前の中央銀行の創設以来、過去100年間で急激に増加した展開」のことである。しかし、現在では、全ての「金融商品」や「通貨」の信頼が揺らぎかけているために、今後の注目点は、いまだに報道が限られている「デリバティブ」に関して大事件が発生するとともに、現在の通貨制度が機能不全に陥る可能性とも言えるのである。
ただし、これからの過程で予想される展開としては、「三次元に留まっていた経済学や社会科学」が、「11次元にまで高まっている自然科学」のように、急激な次元上昇を始める可能性も想定されるようである。具体的には、「文明法則の800年サイクル」や「時間と空間の関係性において、共同体の規模やマネーの残高が、どのような発展を見せてきたのか?」などを理解することにより、「お金や心の謎」などが解明される状況である。