本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.5.10

習近平の経済政策

現在は、「GDPが世界一位である米国の金融混乱」に市場の関心が集まっているが、今後は、「GDPが世界第二位である中国の経済混乱」にも人々が注目せざるを得ない状況とも言えるようである。つまり、現在の「習近平の経済政策」に関しては、「鄧小平の資本主義的経済運営」から、一挙に、「毛沢東の共産主義的経済運営」に大転換を迎えた状況となっており、そのために、現在の中国は、「1990年の日本のバブル崩壊」と「1991年のソ連崩壊」が、同時に押し寄せてきたような状況とも考えられるのである。

より具体的には、「日本の土地バブル」よりも「約4倍の規模にまで膨らんだ中国の不動産バブル」が崩壊したことにより、現在では、「大量の不良債権が、民間金融機関から中央銀行へと、急速に移行を始めた段階」とも想定されるのである。しかも、この時に注目すべき点は、「復活した東西冷戦構造」により、「中国が、西洋諸国から、金融面で切り離された状況」とも言えるのである。

つまり、「脱ドル化」を標榜して、「デジタル人民元」を「BRICS諸国」に普及させようとする企てについては、結果として、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手が消滅し、急速に、紙幣の増刷に迫られる展開」をもたらす可能性も予想されるのである。別の言葉では、「1997年から1998年に発生した西洋諸国の信用収縮」が、今後、「中国で、突然に発生する可能性」のことでもあるが、この時の問題は、「その後、西洋諸国が創り出したデリバティブ」が利用できない点とも考えられるのである。

そのために、今後の「中国経済」に関しては、「米国経済の苦境」と相まって、きわめて厳しい状況に陥るものと想定されるが、この原因としては、やはり、「1600年に一度の文明大転換」が指摘できるようである。つまり、現在の世界情勢に関しては、既存の常識では判断できず、より高次元の分析が必要な状況のようにも感じているが、実際には、「数百年前から研究されていたドイツ哲学」であり、また、「日本の村山節氏が発見した文明法則史学」などである。

そして、結果としては、「東洋哲学」が指摘する「世界が絶えざる進化と創造の過程にある状況」が、今後、より一層明らかになるものと考えているが、この点について、現在、必要とされることは、「西郷隆盛」が指摘するように、「温かい春の前には、厳しい冬の到来が必要であり、このことは神の摂理である」というような「天地自然の理」、あるいは、「神の摂理」などを深く理解することだと考えている。