本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.5.23
真のバリュー投資
「日本株を巡るPBRの1倍割れ」の議論には、大きな違和感を覚えざるを得ないが、その理由としては、「株価を決定するのが企業ではなく投資家である」という点が指摘できるからである。つまり、過去数年間は、「多くの日本人投資家が、大量の資金を米国のGAFAMなどに振り向けていた」という状況であり、また、「日銀のTOPIX買い」などにより、「大型株の優位」が継続していたことも見て取れるのである。
別の言葉では、今から40年ほど前の米国で、私自身が教えられた「真のバリュー投資」が思い出される状況でもあるが、実際には、「株式の価値(バリュー)は、将来の利益と株価との関係性で決定される」というものである。つまり、「分子に位置する将来の利益」に関しては、「これから数年間の企業利益を正確に予想する必要性」が強調されるとともに、「その利益の成長性が、現在、どれほど分母に位置する株価に織り込まれているのか?」を認識することである。
より詳しく申し上げると、「どれほど成長性がある企業でも、株価が高くなっていれば株式の価値がなく、反対に、成長性の低い企業でも、株価が安ければ価値がある状況」のことである。そして、この反面教師としては、「20年ほど前のITバブル」の時に言われた「IT銘柄はニューエコノミー銘柄であり成長性に富んでいるが、一方で、その他の銘柄はオールドエコノミー銘柄であり、成長性に欠ける」という認識が指摘できるようである。
しかし、その後の展開としては、ご存じのとおりに、「ITバブルの破裂」であり、また、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」でもあったが、この時の問題点は、やはり、「世界的な量的緩和(QE)」がもたらした「金融のメルトダウン」、すなわち、「世界的な何でもバブル」であり、また、「米国のGAFAMバブル」とも言えるのである。そして、これから必要とされることは、「アマチュアのゴルファー」のような「たまに当たる相場見通し」ではなく、「プロのゴルファー」のような「たまに発生するミスが、何故、起こったのか?」を追求する態度だと考えている。
より具体的には、「実体経済だけを見る、重箱の隅を突くような相場観」ではなく、「世界の金融界を見る、全体的な相場観」のことであり、この観点からは、間もなく、「OTCデリバティブの完全崩壊」が想定されるものと感じている。つまり、「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度の崩壊」とともに発生が予想される「世界的なハイパーインフレ」のことである。