本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.6.14

国債と金を巡る最後の攻防戦

世界の金融市場では、現在、「国債と金(ゴールド)を巡る最後の攻防戦」が繰り広げられている状態とも思われるが、実際には、「西洋の先進各国が、国債の価格暴落を防ぐために、金利を上げている状況」のことであり、また、一方で、「中国やロシアなどのBRICs諸国は、国債価格の暴落とともに、世界的な金融システムの崩壊が起こる可能性を想定し、大量の金(ゴールド)を買い付けている状況」のことである。

そして、このことが、私が想定する「金融を武器にして展開された第三次世界大戦」だったものと考えているが、この点についても、「間もなく、決着が付くのではないか?」と考えている。つまり、現在では、多くの投資家が、「金価格の暴騰」と「国債価格の暴落」を待っているような状態であり、また、「世界的に政府が取れる金融政策が限られている状態」であることも、各国で理解され始めているからである。

より詳しく申し上げると、「過去20年ほどは、G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)が、オフバランス(簿外)で大量のデリバティブを保有し、さまざまな市場価格のコントロールを行ってきた」という状況だったのである。しかし、現在では、「デリバティブが創り出したデジタル通貨」が使い尽くされるとともに、世界の資金が金融商品から実物資産へと移行を始めたことも見て取れるのである。

つまり、現在では、「未曽有の規模の巨大な資金が、きわめて小さな実物資産の市場へ流れ出し始めた状態」となっているために、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」に関しては、想像を絶するような規模となる可能性が危惧されているのである。別の言葉では、「デリバティブの崩壊」が隠蔽可能な状況下では、「世界の資金が実物資産へ移行する事実」が、多くの人々に理解されていなかったものと理解できるのである。

ところが、現在では、「大量の資金が貴金属市場に流れ始めるとともに、世界各国の中央銀行のみならず、機関投資家や富裕層などが、大量の金や銀などを現物で保有し始めた状況」となっており、このことは、多くの人々が、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」に備え始めた段階とも言えるのである。しかしながら、「日本では、このことが、ほとんど理解されない状況」、すなわち、日本人だけが、「水茹での蛙」の状態となっており、そのために、「世界の金融市場で、どのようなことが起こっているのか?」を理解していないようにも感じられるが、今後の注目点は、やはり、「日本のゼロ金利やマイナス金利が解除された時に、どれほどの混乱が発生するのか?」だと感じている。