本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.6.21

中国の利下げ

6月20日に実施された「中国の利下げ」に関しては、「焼け石に水」の効果しか持たないものと思われるが、その理由としては、「30年ほど前の日本のバブル崩壊時の状況」が指摘できるものと考えている。つまり、当時の日本では、「不動産や株式の価格下落」が、きわめて巨大な「不良債権」を産み出したことにより、その後、「民間金融機関の破綻」に繋がった状況だったからである。

より具体的には、「日本」のみならず、「米国」においても、「メガバンクの破たん危機」に見舞われたのだが、この時に「救い」となったのが、「メガバンクがオフバランス(簿外)で大膨張させたデリバティブ」だったのである。つまり、「資産価格は変動するものの、負債の残高が一定である」という、「バランスシートの非対称性」が保有する性質により、「1990年代の先進諸国では、きわめて巨額な不良債権が発生した」という状況であり、また、その穴埋めの役割を果たしたのが、「1998年からの10年間で、約8000兆円から約8京円にまで膨らんだデリバティブ」だったのである。

ただし、「バブルの運命」としては、「必ず、破裂の時期を迎える」ということであり、今回の「デリバティブ」についても、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」が、この事実を象徴していたのである。そして、その後は、「リフレーション政策」が実施され、実際には、「バランスシートの大膨張が、民間金融機関から中央銀行へ移行した展開」となったものの、ほとんどの人々は、「GAFAMのバブルに熱中し、実際に、どのようなことが起こっていたのかが理解できない状況」だったものと想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「中央銀行が、民間資金を利用して、マイナス金利などの超低金利状態を作り出した状況」のことでもあるが、現在では、すでに、「中央銀行のバランシートを膨張させる方法」が限界点に達したことも見て取れるのである。つまり、「最後の手段」である「紙幣の増刷」、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨) の発行」しか残されていない状況のことである。

このように、今後の世界情勢に関しては、「米国」や「中国」などの「デリバティブ大膨張の恩恵を最も受けた国々」において、きわめて大きな反動が発生するものと想定されるが、具体的には、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手」が消滅することにより、一挙に、「ハイパーインフレ」に見舞われる可能性であり、しかも、タイミングとしては、やはり、「2023年8月15日前後の状況」が気に掛る状況とも言えるようである。