本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.8.24
ゼロ金利終了後の世界
現在、多くの人が模索し始めたことは、「ゼロ金利の終了後に、どのような時代、あるいは、どのような世界が訪れるのか?」ということでもあるようだが、この点を理解するためには、「なぜ、過去40年余りの期間、先進各国の金利が低下を続けてきたのか?」、そして、「なぜ、日本で20年余りの期間、実質的なゼロ金利が継続可能だったのか?」の分析が必要な状況のようにも感じている。
より詳しく申し上げると、「1913年に創設されたFRBが、過去100年余りの期間、どのような役割を果たしてきたのか?」を理解することでもあるが、今回の「約40年間の金利低下」に関しては、「日本におけるバブルの発生と崩壊」が、前半部分に対して、大きな影響力を持ち、また、後半の「先進各国のゼロ金利」に関しては、「デリバティブのバブル」が、大きな役割を果たしたものと想定されるのである。
別の言葉では、「1997年にタイから始まった信用収縮」以降、「デリバティブの大膨張」が発生し、その時に創り出された「大量のデジタル通貨」が、「金融抑圧」という「金融市場の価格コントロール」を可能にしたものと考えられるのである。つまり、「金利を始めとして、すべての金融市場で、メガバンクが価格を統制した可能性」であり、現在では、この点に関して、さまざまな犯罪が判明している状況とも言えるのである。
このように、今までは、「大量のデジタル通貨」が、「コンピューターネットワーク」と「デジタル通貨」が作り出した「金融界のブラックホール」という仮想現実の世界で活躍していたわけだが、最近の「世界的な金利上昇」がもたらした変化は、「金融界のホーキング放射」である「実物資産への資金移動」とも想定されるのである。つまり、「実体経済の約10倍」にも達する規模の「世界のデジタル通貨」が、急激に、実物資産へ流れ始めている状況のことである。
そのために、「今後、どのような変化が、世界的に発生するのか?」という「時間と空間の変化」に関しては、「複雑系」の学問が示す「秩序の形成と崩壊のメカニズム」のとおりの展開が想定できるものと考えている。つまり、「2010年前後にピークを付けたデリバティブの金融タワー」が、その後、約10年間で、「約330兆ドルもの世界的な債務残高というもう一つの金融タワーを作り出した状況」に関して、「2023年8月15日から始まった中国版のリーマン・ショック」が、今後、あっという間に、「目に見えない金融ツインタワー」を崩壊させる展開のことである。