本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.9.5

問題だらけの金融リテラシー

「金融リテラシー」という言葉には、大きな違和感を覚えるとともに、一種の危うさも感じているが、その理由としては、いまだに「お金の謎」が解けていないために、ほとんどの人々が、「具体的に、何を勉強し、理解すべきなのかが理解できていない状況」とも思われるからである。別の言葉では、この言葉が政治利用されている可能性を危惧している状況でもあるが、実際のところ、「米国を中心とした西側諸国」では、「膨大に膨れ上がった国家債務残高やデリバティブのバブルに関して、時間稼ぎと問題の先送りに終始してきた状況」だったことも見て取れるのである。

また、一方で、「中国やロシアなどの東側諸国」は、「西側諸国の苦境」を利用して「自らの野望」を達成しようとしている状況とも思われるが、実際には、「資本主義の崩壊後に共産主義(コミュニズム)の時代が到来する」という、根拠のない「史的唯物論」を、いまだに猛進している可能性のことである。つまり、「1991年のソ連崩壊」以降、虎視眈々と、「西側諸国の金融混乱」を待ち続け、満を持して、「2022年2月に、水面下で中国と共謀して、ウクライナへの軍事侵攻を始めた可能性」である。

より詳しく申し上げると、「資本主義諸国が、かつて経験した、他国の領土を奪い取る帝国主義政策」に邁進している可能性のことでもあるが、この点についても、「お金が、どのようにして生み出され、また、膨張したのか?」が理解できていないために、結局は、「世界の常識から乖離した行動」につながった状況とも思われるのである。つまり、「お金」は、「分業」という「他人との共同作業」から生み出される「生産性の向上」が基本であり、また、この時に必要とされるのが、「人々の間に存在する信用」とも言えるのである。

そして、「共同体の規模」が拡大することにより、「マネーの残高」が増えていく構図となるわけだが、今回の「グローバル共同体」と「未曽有の規模でのデジタル通貨」に関しては、「西ローマ帝国崩壊以降、1600年という時間をかけて達成された状況」とも考えられるのである。つまり、現在の「東西冷戦の激化」については、「800年に一度の東西文明の交代」のみならず、世界的な「マネーの消滅」をもたらす可能性も想定されるのである。

そのために、現時点で必要なことは、「形だけの金融リテラシー」ではなく、根本にさかのぼり、「お金の謎」を解明することでもあるが、今後の展開としては、「デジタル通貨が、神様の状態から、単なる紙切れへの大転換」を経験することにより、「78年前の日本人」と同様に、瞬間的な「意識と行動の大転換」が発生する可能性も考えられるようである。