本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.8.30

53年ぶりの円安

8月30日の日経新聞に、「53年ぶりの円安」の記事が掲載されているが、具体的には、様々な通貨の相対的な価値を、物価変動と貿易量などを考慮して算出する「実質実効レート」が「1970年9月以降、最も低い水準に落ち込んでいる」というものである。別の言葉では、「日本国家の体力」を測るバロメーターの一つである「為替」に関して、きわめて危機的な状況に陥っていることが見て取れるが、この理由として指摘できるのは、やはり、「世界で唯一継続されている日本のマイナス金利」であり、また、「24年間も継続された実質的なゼロ金利政策」だと考えている。

つまり、26年前の「1997年8月」から始まった「世界的な信用収縮」の結果として、「日米欧の先進各国は、協調して、デリバティブの残高を大膨張させた」という状況であり、その結果として発生したのが、「大量のデジタル通貨」や「世界的な金利低下」だったのである。より具体的には、「民間金融機関のオフバランス(簿外)口座で、大量のOTCデリバティブを積み上げた」という状況の結果として、「金融抑圧」と呼ばれる「金融市場の価格操作」が実施された状況のことである。

しかし、「どのような無謀な行為にも、必ず、限界点が訪れる」ということが「大自然の摂理」であり、実際には、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」により、「デリバティブの大膨張がピークを付けるとともに、中央銀行のバランスシートの大膨張が始まった」という展開となったのである。別の言葉では、今までの「民間から資金を借り入れ、国債を買い付けることにより、自らのバランスシート残高を膨張させた」という状況が、現在では、「資金手当てに問題が生じ始めた」という変化が起き始めたのである。

より具体的には、「約500兆ドルのOTC金利デリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」という「債権や金利に関する、目に見えない金融ツインタワー」が、様々な事件の発生により、「2001年の9・11事件」の時のように、「炎上し、崩壊を始めた段階」とも想定されるのである。そして、今後の数週間、あるいは、数か月間で、「債券に関するバブルが、あっという間に崩壊する可能性」が考えられるが、実際には、過去100年間で、様々な国々が経験してきた「ハイパーインフレ」の発生である。

そのために、現時点で必要なことは、「自分の資産」を見直しながら、「少なくとも1割程度は、貴金属などの実物資産」、そして、「約6ヶ月分の食糧」の保有を心がけることだと考えている。