本間宗究(本間裕)のコラム

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2023.9.7

100年前のイギリス国債

現在の「世界の金融市場における最大の関心事」は、以前の「中国の不動産市場」や「世界の実体経済」の動向から、「日本を初めとした先進各国の金利と国債価格」へと移行中の状況とも思われるが、この点に関して、大きな参考となるのが「100年前のイギリス国債」だと考えている。つまり、19世紀末から20世紀の初頭にピークを付けた「大英帝国」において、「イギリス国債(コンソル債)が、約30年の期間、上昇を続け、金利の低下が見られたものの、その後、1923年に発生したドイツのハイパーインフレで、大きく価値を失った」という展開のことである。

そして、この事実に関して、ケインズは、その著書で、「30年間も同じ動きが継続すると、人々は、その動きが永遠に続くと錯覚しがちになる」と述べているが、結局は、「どのようなバブルも必ず弾ける運命にある」という言葉通りの展開だったことも見て取れるのである。別の言葉では、今回の「先進各国における史上最大規模の国債とデリバティブのバブル」も、結局は、同じ運命をたどるものと考えているが、「40年以上の長きにわたり、実践の相場で、この展開を見続けてきた私自身」としては、「ケインズの言葉を学んでいなかったら、私自身も、同様の過ちに陥っていたのではないか?」とも感じられるのである。

より具体的には、「1977年」から金融業に従事してきたために、私自身は、「1980年の金(ゴールド)のバブル」のみならず、「1980年代の初頭から始まったデリバティブのバブル」、そして、その後の「数多くのバブル」を、実際に経験でき、数多くの教訓を得られたものと思われるのである。そして、現時点で、最も必要とされるものが、「マネーの歴史」を深く理解することであり、この点が抜け落ちていると、今後、「多くの人々が、致命的な損失を被る可能性が存在する状況」のようにも感じられるのである。

あるいは、「村山節の文明法則史学」の理解も求められているものと考えているが、幸いなことに、私自身は、既存の経済理論に捉われることなく、「相場は常に正しい」という言葉を信じながら、「神様が、どのような事実を見せてくれるのか?」という点に集中することができたものと思われるのである。そのために、今後の相場についても、同様の方法で対処していきたいと考えているが、この時に陥りやすい過ちとしては、やはり、シュペングラーが指摘するとおりに、「成ったこと」である「神の意志」が理解できずに、「成ること」である「人間の知恵」に頼ることである。つまり、「希望的観測」に基づいた「投資の実践」のことでもあるが、結局のところ、最後にたどり着くのは、「大自然の摂理」の理解であり、また、「社会科学の未熟さ」の認識だと考えている。