本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.11.16
国債と貴金属を巡る攻防戦
過去20年以上の期間に及びならが、今まで、ほとんど報道されなかった「国債と貴金属を巡る攻防戦」が、現在、終焉の時を迎えるとともに、今後、大きな価格変動が始まるものと考えている。つまり、「国債」に関しては、「日本のYCC(イールドカーブ・コントロール)」に象徴されるように、今まで、「デフレの象徴のために、大量の買い付けが実施され、金利が低く抑え込まれていた」という状況だったのである。
また、「貴金属の価格」に関しては、「JPモルガンの違法行為」からも明らかなように、今まで、「デリバティブを利用した力任せの価格抑え込み」が実施されて来たものの、現在では、「国債価格の暴落」が、世界的に始まったことにより、「貴金属の価格抑え込み」の必要性が失われたものと想定されるのである。別の言葉では、「目に見えない金融ツインタワー」の一つである「約330兆ドルの世界債務残高」の崩壊により、もう一方の「約600兆ドルのOTCデリバティブ」が、間もなく、完全崩壊する可能性である。
より詳しく申し上げると、今までは、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、すなわち、「影も形も存在しない、単なる数字が本位通貨となった制度」を維持するために、さまざまな行為が水面下で実施されてきたものと想定されるのである。具体的には、「法律の改正などにより、さまざまな障害が取り払われてきた状況」のことでもあるが、実際のところ、現在の「日銀」については、「20年以上前と現在とでは、法律の面において、大きな違いが存在する状況」ともいえるのである。
その結果として、現在の「世界的なマネー残高」については、「人類史上、未曽有の金額」となっており、しかも、「これ以上は、紙幣の大増刷か、あるいは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の創設でしか増やすことができない状況」とも考えられるのである。別の言葉では、古典的な「財政ファイナンス」、すなわち、「債務の貨幣化」が、間もなく実施される可能性が高まっている状況ともいえるが、今回の問題点は、「大量のデジタル通貨が存在しながらも、行き場を失い始めている状態」とも理解できるのである。
つまり、「お金の性質」としては、「値下がりする商品」から「値上がりする商品」への移行が指摘できるが、現在の問題点は、「なんでもバブルの崩壊」により、「貴金属や原油、あるいは、非鉄金属や食料などの実物商品」などが、次の投資対象となり始めた可能性であり、このことは、「海中に押し込められていたビーチボールが、水面上に飛び出そうとするような状況」とも考えられるのである。