本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.11.28
世界的な流動性危機
現在、世界的な問題として認識され始めたことは、「世界第一位の経済大国であるアメリカ」のみならず、「世界第二位の経済大国である中国」においても、「中央銀行のリバースレポ」が実施されるとともに、「その資金が国債に流れ始めている状況」である。つまり、米中のみならず、その他の先進各国においても、「国家の債務問題」が表面化し始めるとともに、「流動性の枯渇」が問題視され始めている状況のことである。
より詳しく申し上げると、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」の時にピークを付けた「世界のデリバティブ残高」を処理するために、その後、「先進各国のリフレーション政策」、すなわち、「中央銀行のバランスシートを大膨張させながら、デリバティブの処理を図る政策」が実施されてきたことも見て取れるのである。しかし、実際には、巨額なデリバティブの残高処理が遅々として進まず、結果としては、中央銀行のバランスシート残高においても、いろいろな問題が出現し始めたのである。
具体的には、「クラウディングアウト」と呼ばれる「国家の資金需要増加に伴う金利上昇」のことであり、実際には、「中央銀行が集めた民間資金のほとんどすべてが、国家債務の埋め合わせに流れた状況」ともいえるのである。別の言葉では、「金利を上昇させながらリバースレポにより集められた民間資金が、その後、より高金利の短期国債へと流れ始めている状況」のことだが、現在では、「リバースレポの残高そのものが枯渇を始めている状態」となっているのである。
つまり、現在では、「民間の余裕資金が、ほぼ完全に、国家に吸い上げられた状態」となっており、そのために、「中央銀行」のみならず、「民間の金融機関」や「民間企業」、そして、「個人」においても、「流動性の枯渇」が発生し始めているものと考えられるのである。別の言葉では、「バランスシートの非対称性」がもたらした「不良債権」、すなわち、「負債の価格は一定でありながら、資産の価格が変動する状況」により、世界全体で「バランスシート不況」が発生している可能性のことである。
そのために、これから危惧される展開としては、「いつまでもあると思うな親と金」という諺のとおりに、「大量に存在したデジタル通貨が、いつの間にか、完全に枯渇する可能性」であり、その結果として予想される「世界的な紙幣の大増刷」に関しても、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない」という理由により、「金融界の白血病」とでも呼ぶべき大混乱を引き起こす可能性である。