本間宗究(本間裕)のコラム
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2023.12.14
枯渇し始めた世界のマネー
現在、「マネーの枯渇懸念」が、米国を中心にして世界的な広がりを見せ始めているが、このことは、「リフレーション政策の終焉」と「ハイパーインフレの始まり」を表しているものと考えている。つまり、今までは、「目に見えないインフレ税が、国民の気付かない方法で課されていた状況」だったものが、現在では、「最後の段階」である「誰もが認識するハイパーインフレ発生」への移行期に差し掛かったものと思われるからである。
別の言葉では、現在、「所得税」などの「現在の税金」に加えて、「国債」などの「将来の税金」、そして、「中央銀行のバランスシート膨張による目に見えないインフレ税」が、人々の気付かない状態で、国民に課されている状況ともいえるのである。そして、今後は、「マネーの枯渇」、すなわち、「民間の資金が完全に政府に吸い上げられる状況」となり、その結果として、「国民の気付く形でインフレ税が課される状況」、すなわち、「紙幣やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」という展開も想定されるのである。
より詳しく申し上げると、現在は、「米国政府の資金繰り」に関して、「最後の砦」ともいえる「FRBのリバースレポ残高」が、「約2.5兆ドルにまで急増した後に、約0.8兆ドルにまで減少した状況」となっており、このことは、米国における「クラウディングアウトの発生」を表しているものと思われるのである。つまり、「間もなく、民間部門の余裕資金が、すべて国家に吸い上げられた状況」となり、その時には、「中央銀行が、大量の紙幣、あるいは、CBDCの発行に迫られる展開」も想定されるのである。
そして、このことは、「1991年のソ連」と同様の状況ともいえるが、今回の注目点は、やはり、「一国のみではなく、世界全体の通貨制度が崩壊する可能性」とも考えられるのである。別の言葉では、「1971年から始まった『信用本位制』と呼ぶべき通貨制度の崩壊」のことでもあるが、今後の注目点としては、「神のお金」と「人のお金」の区別を理解することが挙げられるものと感じている。
具体的には、「過去100年間に、どのような変化が世界の通貨に発生したのか?」、あるいは、「どのような商品が産み出され、そして、どのような通貨が創り出されたのか?」を正確に理解することである。つまり、「三種類の金本位制」と「その後の信用本位制と呼ぶべき通貨制度」の理解でもあるが、同時に必要なことは、「西ローマ帝国の崩壊時」、すなわち、「1600年前の西暦423年に、どのようなことが起こったのか?」を考えることであり、このことが、未来予測に関して、最も近道のようにも感じている。