本間宗究(本間裕)のコラム
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2024.1.15
何でもバブルの最終章
現在の「日本株の価格高騰」については、「何でもバブルの最終章」が始まるサインの一つのようにも感じられるが、実際には、「ハイテクバブルの終了後に、貴金属や商品などの本格的なバブル相場が始まる可能性」のことである。別の言葉では、「世界的なハイパーインフレの発生」が危惧される状況のことでもあるが、この理由としては、やはり、「2009年前後から始まった世界的な『何でもバブル』の存在」が指摘できるようである。
より詳しく申し上げると、「2008年前後にピークを付けた世界的なデリバティブのバブル」については、その後、「バブル崩壊を隠そうとする思惑」の存在により、時間をかけて、「QE(量的緩和)」や「YCC」など、さまざまな金融政策が実施されてきた状況だったことも見て取れるのである。つまり、「中央銀行のバランスシート大膨張」に関して、「民間部門からの資金借り入れ」により実施されてきたわけだが、その結果として発生した現象が、「金融ピラミッドにおけるメルトダウン」、すなわち、「国債や不動産、あるいは、株式などの価格上昇」だったものと考えられるのである。
しかし、現在では、最も出遅れていた「日本株」、しかも、「PBRが1倍割れの割安株」などにも資金が集まり始めているために、これから想定される展開は、「デリバティブのバブル崩壊を象徴するような大事件」の発生と「金融市場における価格コントロール」の終焉とも思われるのである。つまり、「世界的な国債のバブル」については、現在、辛うじて、「国債の買い手」が存在する状況でもあるが、今後は、「世界的な財政ファイナンス」の実施により、「国債価格の暴落」と「金利の急騰」、そして、「本格的な紙幣の大増刷、あるいは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」が始まる可能性も想定されるのである。
別の言葉では、「マネーの性質」である、「ハイパーインフレによる発散」、あるいは、「大恐慌による銀行の連鎖破綻」などの方法で「マネーの残高が減少する事実」が、世界的に認識され始めるものと思われるが、現在では、まさに、そのような局面に差し掛かろうとしている状況のようにも感じられるのである。
つまり、「米国」を中心にして、「国債の買い手」が見つかりにくくなっており、その結果として、「中央銀行の財政ファイナンス」が、世界的に始まる可能性のことでもあるが、そのために、現時点で必要なことは、「現代のマネーが単なる数字に過ぎない」という事実を理解しながら、「できるだけ多くの貴金属や商品、そして、食料などの実物資産」を保有することだと考えている。