
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.4.14
規模の経済と不経済
経済学の基本用語に「規模の経済と不経済」があり、具体的には、「大量生産のメリットやデメリット」などと理解されているが、この点を深堀りし、現状分析に応用すると、若干、違った姿が見えてくるものと感じている。つまり、「過去100年間に、どのような商品が大量生産のメリットやデメリットを受けたのか?」を具体例で考えると、いろいろな真理に気付かされる可能性である。
より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い、信用の量や貨幣の残高が増えるとともに、さまざまな商品が新たに作られてきた展開」に関して、「技術革新に伴う商品の陳腐化」や「景気悪化」などに伴う「需要の減少」を考えることであり、また、同時に必要なことは、「大量に産み出された金融商品」について、「信用消滅に伴う貨幣残高の減少が、金融商品の残高や価格に、どのような影響を与えるのか?」の考察である。
別の言葉では、「時間の経過」とともに、「どのような商品が新たに作られ、また、どのような商品が陳腐化したのか?」を考えることでもあるが、特に注目すべき点は、「1971年のニクソンショック」以降の世界で、「大量のデリバティブという商品とデジタル通貨が創り出された状況」である。つまり、「2008年のGFC(世界的な金融大混乱)」までは、「大量に創り出されたデジタル通貨」が「さまざまな商品に対して、膨大な需要」を発生させたことにより、未曽有の規模での「規模の経済」が働くとともに、人類史上、最大の「経済成長」が達成されたものと思われるのである。
より具体的には、「単なる数字」が「本位通貨」となった結果として、「膨大に創り出された貨幣や通貨が、世界各国で急激な経済成長を実現した時代」のことだが、「2008年のリーマンショック」以降は、「グローバル共同体の分裂や崩壊」により、「貨幣や通貨の残高が減少し始めた展開」だったことも理解できるのである。つまり、「規模の不経済」が働き始めた状況とも思われるが、「このことが、今後の金融システムに対して、どのような影響を及ぼすのか?」を考えると、実際には、「デジタル通貨の縮小や減少が、デリバティブという金融商品の崩壊につながる可能性」も想定されるのである。
別の言葉では、「過去100年間に大膨張した世界の金融システム」が、「金利の上昇」とともに、音を立てて崩れ始めている展開のことでもあるが、実際には、「大膨張した現代の貨幣」が「小さな実物資産の市場」に流れ始めたことにより、「実際に、どれだけの実物資産が購入できるのか?」が問われ始めている状況のことである。