
本間宗究(本間裕)のコラム
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2025.4.24
スローモーションの脱線列車
現在の世界的な金融システムについては、「スローモーションの脱線列車」に例えられるケースが増えているが、この点については、まさに「言い得て妙」の状況のようにも感じている。つまり、現時点では、「世界の金融システムが崩壊を始めている段階」、そして、「多くの人々が不安や違和感を覚えている状況」でありながらも、いまだに、「はっきりとした形での列車脱線が発生していない状態」とも想定されるからである。
別の言葉では、「金融システムの崩壊を、コマ送りのスピードが速まりつつある状態で見ているような状況」のことでもあるが、このことが意味することは、間もなく、「列車の脱線と停止」を意味する「金融システムの完全崩壊」が発生する可能性とも思われるのである。つまり、「炎上中の金融ツインタワー」である「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約320兆ドルもの世界的な債務残高」が、今後数か月間のうちに、音を立てて崩れ始める可能性のことである。
そして、この時の注意点としては、「今までに積み上がった世界の資産と負債」に関して、「負債の無価値化が、同時に、資産の無価値化をもたらす可能性」であり、実際には、「紙切れとなった世界の通貨が、一斉に、実物資産に流れ込む可能性」である。つまり、本来の「マネー」だった「金(ゴールド)」に関して理解できることは、「過去100年間が、クレジット(信用)による資産と負債の急増が見られた状況」でもあるが、今後の展開としては、「無価値となる紙幣が大量発行されることにより、今まで価値のある資産と見なされていた商品に資金が回らなくなる可能性」である。
より具体的には、今までの展開だった「分業化がもたらした共同体の大膨張」、および、「産業構造の複雑化」に関して、今後は、「共同体の大収縮」や「基本的な産業への資金的な復帰」が始まる可能性も想定されるのである。つまり、「貨幣残高の実質的な大収縮」により、今後は、「必要とされる産業への資金回帰」が急速に発生するものと思われるが、実際には、すでに始まった「農産物などの価格上昇」のことである。
しかも、これほどまでの「金融面における地殻大変動」については、過去の例を遡ると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」にまで行きつかざるを得ない状況とも思われるのである。つまり、「村山節(みさお)の文明法則史学」が指摘する「1600年サイクル」や「プラトンの暦」が指摘する「1600年×16=約26000年の1プラトン年」によって表される展開のことである。