本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.7.26

二極分化を始めた世界の国債市場

依然として、「国債を守る陣営」と「金を信用する陣営」との間で、世界的な金融大戦争が継続しているが、現在では、徐々に変化が出始めている。具体的には、「極端な二極分化」という「日米英独」などの金利が急低下しながらも、一方で、「スペイン」や「イタリア」などでは、「金利の上昇」が起きているのである。そして、この理由として考えられることは、「信用崩壊の波が、弱い国から、徐々に広がりを見せている」ということだが、実際には、「ヨーロッパの防波堤」と言われる「スペイン」が破綻状態となり、次に、「イタリア」や「フランス」などへと伝播していく可能性のことである。

そのために、「日米英独」などの国々では、「必死になって、国債を買い支えている」という状況が想定されるようだが、このことは、以前に起きた「AIJ投資顧問事件」の時に、「犯罪の可能性が報道されながらも、依然として、新規資金を募集していた」という姿に重なって見えるようである。つまり、「LIBORの不正操作」が明らかになっていながらも「国債を買い支えることにより、低金利の状態を演出している」という可能性のことだが、「騙されたと気づけば、誰も国債を買う人がいなくなる」ということは「自明の理」とも言えるようだ。

そして、今後は、世界に存在する「目に見えない二つの金融ツインタワー」が崩壊するものと思われるが、一つは、「英米が保有する約4.6京円のデリバティブ」であり、もう一つは、「日米が保有する約2300兆円の国債」である。つまり、今までは、このツインタワーを守るために、「極端な低金利政策」や「異常なまでの国債の買い支え」が行われてきたのだが、現在では、「日米英の三国は、本当に大丈夫なのか?」という懸念が広がり始めたようである。そのために、これらの国々では、必死になって、国債を買い支えているようだが、このような二極分化は、往々にして、「相場の大転換」を意味する場合が多いとも言えるのである。

このように、今回の二極分化は、いよいよ、「日米英の国債が大暴落を始める」というサインのようにも感じられる次第である。つまり、「9・11事件」の時のように、「一機目のジェット機」に相当するのが「ギリシャ」であり、「二機目」が「スペイン」ではないかと考えているのだが、このことが意味することは、「世界の金融システムが完全崩壊を始める」ということである。そして、その後に、本格的な「大インフレ」が発生するものと思われるが、残念ながら、ほとんどの日本人は、いまだに、「今までに経験したことがないことは、決して起きない」と安易に考えているようである。