本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.8.6

サメたちの饗宴

「LIBORの不正操作」については、現在、世界的な広がりを見せており、今後は、より大きな問題に発展することが予想されるが、その一つに、アメリカで始まった「サメたちの饗宴」と呼ばれるものがある。具体的には、「違法行為により、不正に低く金利が抑えられていた」という事実に対して「数多くの訴訟が起きている」ということだが、現在では、「ウォール街」の内部で「訴訟合戦の様相」を呈し始めているのである。

つまり、「お金の奪い合いが、業界の内部で起き始めている」ということであり、このことが、「サメたちが餌を奪い合っている姿」に重なって見えるのである。あるいは、「利益のためなら、不正行為も厭わない」と考える人たちが、数多く存在するといわれる「ウォール街」で「利益の奪い合いが起きている」という状況でもあり、実際には、「断末魔の叫び」とでも呼ぶべき状況になっているようだ。そして、結果としては、今後、急速に、「ウォール街の影響力が減少する」という状況も想定できるようである。

また、「本来、支払うべき金利」という点においては、「政府の金融政策」も問題視され始めているようだが、このことは、「日米の政策担当者が、実質上のゼロ金利政策を行ってきた」ということに対して「さまざまな疑問が出始めた」ということである。そして、「7月25日」に、「FRBの監査法案が、下院において、圧倒的多数で可決された」という状況にもなっているのだが、この法案の目的の一つとしては、「アメリカのゼロ金利政策が、一種の違法行為である可能性」を検証することでもあるようだ。

このように、現在の先進国では、歴史上、例がないほどの「超低金利政策」が実施されているのだが、この目的としては、「国債価格の暴落を防ぐ」という「一点」に絞られるのである。そして、この目的を達成するためには、「本来、払うべき金利」を支払わず、また、「国民を犠牲にしてまでも、強引に、デタラメな金融政策を実行する」ということが、国民の目に明らかになり始めているのである。

しかも、このような「ゼロ金利政策」については、「日本が、約15年間も継続してきた」という状況であり、実際には、「日本人が、最も強く、不当な低金利状態に対して問題を提起すべきである」とも言えるのである。ただし、より大きな問題としては、「これ以上、先進各国が低金利政策を実行できず、国債価格が暴落する」という事態に見舞われた時には、「既存の金融商品が価値を失い、その結果として、サメたちが狙う餌が無くなってしまう」という状況も考えられるようである。