本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.8.7

学術を以て天下を殺す

日本の政治情勢は、「風雲、急を告げるような状況」となってきたが、このような混乱を見るたびに、明治維新の時に、勝海舟が述べた「日本の四殺」が思い出されてならない。つまり、三番目の「政事を以て民を殺す」という言葉が、まさに、現在の民主党の姿を表しており、また、自民党も、「五十歩、百歩の状態」ということである。そして、この原因としては、「国民の生活よりも、自分たちの地位や給料の方が大切だ」という「政治家の態度」が考えられるようであり、結局は、「選挙に落ちれば普通の人」という言葉のとおりに、現在の政治家は、ほとんどが「国会議員」という「肩書」が欲しい人の集団になってしまったからである。

その結果として、現在では、「3・11大震災の被害者」や「放射能汚染に悩む人たち」のことは、ほとんど無視され、ご存じのとおりに、「消費税」や「オスプレイ」、あるいは、「原発の再稼働」などの問題だけに猛進しているのである。つまり、「国民のため」という言葉を使いながら、実際には、「官僚」や「政治家」が、「あまりにも自分勝手な政策」を実行しているようだが、現実を見ると、「勝海舟」の言葉のとおりに、「日本」の国力や体力はガタ落ちとなり、すでに、「瀕死の状態」とも言えるのである。

そして、最後の「四番目」が、「学術を以て天下を殺す」という言葉になるが、このことは、「原発事故」からも明らかなように、「机上の空論を重視する学者たちが、日本を放射能まみれの状態にした」というような状況のことである。また、今後は、最も重要な問題であり、かつ、「命の次に大切」と言われている「お金」に関して、重大な事件が起きようとしているわけだが、具体的には、「国債価格が暴落すると、現在の金融商品は、ほぼ瞬間的に価値を失う」ということである。

つまり、「預金」や「保険」、あるいは、「年金」などに、「大量の国債が組み込まれている」という事実の他に、「LIBOR金利」と同様に、「先進国の国債価格が、不正に操作されている可能性」が存在するのである。そして、これらの事実が明らかになると、「金融システム」や「通貨制度」までもが「あっという間に崩壊する」という点が、現在、海外で危惧されているのである。

このように、今までは、多くの学者たちが、「国債の残高が増えても、日本は破綻しない」と言い続け、現在のような混乱を招いたわけだが、このことが、「日本を殺すための、最も手早い方法」でもあったようである。