本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.8.18

世界的な株高

暦のとおりに、「2012年の6月から7月」は、歴史的な大転換期になったようだが、実際に起きたことは、「先進国の国債価格が大天井を付けた」ということであり、その結果として、「世界の資金が暴れ始めた」ということである。つまり、今まで人為的に抑え込まれていた「世界の株価」や「商品価格」などが「本来あるべき水準へと戻り始めた」ということにすぎないのだが、多くの人にとっては、この点が理解しづらいようである。そして、ほとんどの人が、「国債価格が暴落すれば、株価も同様に値下がりする」と考えているようだが、現在では、国家破綻の危機に瀕している「スペイン」においても、「過去1カ月間で、約30%も株価が上昇している」という状況になっているのである。

つまり、「国家が破綻状態に陥っても、個別の企業はたくましく生き延びる」ということであり、また、「それぞれの個人は、国家の盛衰に関わらず、力強く困難に対応する」ということが「歴史が教えること」とも言えるのである。具体的には、「戦後の日本人が、どのようにして、焼け野原の状態から復活したのか?」を考えてみれば明らかだと思われるが、この時には、「頼るべき国家」もないような状態であり、また、現在とは違い、ほとんどの人が「貧乏」でもあったのである。

しかし、当時の人々が行ったことは、「貧しさの中にありながらも、助け合いや信じ合いにより、力を合わせて日本を立て直した」ということである。つまり、「現在の日本人」とは正反対の状況でもあったようだが、実際には、「有り余るほどの『お金』がありながら、より一層、『お金』に執着している状態」とも言えるのである。そして、「他人のことなど考えていたら、自分が不幸になる」というような考えが広まり、結果としては、「助け合い」や「絆」などは、完全に失われた状態になっているようだが、このことは、「お金の根本である信用が、完全に消滅した段階」ということである。

つまり、現在の「お金」は、「根の無い切り花の状態」になっているのだが、「お金の性質」として言えることは、「ある商品から別の商品へと、次々に、お金が移行する」ということであり、実際には、「紙幣が紙屑になるまで、この動きが継続する」ということである。別の言葉では、「約6か月間のギャロッピング・インフレ」の後に「約6か月間のハイパーインフレが訪れる」ということが過去のパターンであり、現在の「世界的な株高、商品価格の上昇」はこの動きが始まったことを意味しているのである。しかも、「世界の資金が、急速に移動を始めた」という事実から予想されることは、「あと一年ほどで、我々の『預金』や『紙幣』が紙屑になる」ということである。