本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.9.4

サラリーマン化した日本人

今回の「シャープの苦境」を見ていると、「日本人」が、かつて持っていた「職人魂」を忘れ、「サラリーマン化した状況」が浮かび上がってくるようだが、このような状況下でも「円高」や「低金利」という「力のある国の特権」が存在することが、一種の「奇跡」とも言えるようである。つまり、「国民や企業が、良い製品を作り、海外から評価され、買ってもらう」ということが、戦後の日本が、奇跡的な高度成長を遂げた理由だと考えているが、現在では、「利益の低下」や「原油価格の上昇」などにより、以前のような競争力がなくなっているからだ。

そして、現在、日本が世界に誇れることは、歴史的な「円高」や「超低金利」だけとも言える状況になっているようだが、実際には、このような「異常事態」が長続きするはずもなく、今後は、日本人が、大きな変化の時代を経験することが考えられるようだ。具体的には、想像以上の「円安」や「金利の上昇」に見舞われた時に、日本人の意識が大きく変化する可能性のことだが、今までは、このような「危機的な状況」が生まれていなかったために、現在の日本人が「水茹での蛙」の状態に陥った可能性もあるようだ。

つまり、「サラリー(給料)」という「お金」を貰うことが、「人生の目的」となってしまい、本来の「使命」とでも言うべき「自分が会社や社会の中で、どのような事をすべきなのか?」という点が軽視されているからだ。別の言葉では、「顧客がどのように考え、何を求めているのか?」ということよりも、「会社の中で、どのようにして、自分の地位を上げるのか?」ということに力を注ぎすぎ、結果として、「会社そのものが、世界的に、競争力を失った」という状態が「現在の日本人」とも思われるのである。

しかし、このような状況は、実は、「30年前のアメリカ」でも起きていたことだったのである。具体的には、「目先の利益」だけを求め、「長期的な問題」である「商品やサービスの革新や改良」という点を忘れたために、世界的な競争力が失われたのだが、そのような状況下で成功したのが、「アップル」や「マイクロソフト」、あるいは、「グーグル」や「インテル」などの企業だったのである。

そのために、「20年から30年前のアメリカ」とよく似た状況にある「現在の日本」も、再び、「職人魂」という「顧客にベストの仕事をして、心から喜んでいただく」という「精神」が復活することを願っているのだが、この時の必要条件としては、「お金は、仕事の結果として、付いてくるものだ」という考えを持つことでもあるようだ。