本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.11.16

スカイネットの崩壊

最近、海外では、「スカイネットの崩壊」という言葉が使われ始めているが、この「スカイネット」というのは、映画の「ターミネーター」に出てくるコンピューターの名前のことである。そして、映画の中では、「大量のロボットをコントロールし、人類の滅亡を図っている」という状況が、近未来の姿として描かれているのだが、まさに、世界の金融界では、「コンピューターを駆使した大量のプログラム売買により、ほとんどの市場がコントロールされている」という状況にもなっているのである。

つまり、今年話題になった「LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作」のように、数行のメガバンクが、「デリバティブ(金融派生商品)」などを駆使することにより、「金利」のみならず、「為替」や「株式」、そして、「商品市場」までもが、「ロボット取引などにより、コントロールされている」ということである。しかし、この点については、「目に見えない金融戦争」のために、ほとんど知らされることもなく、また、多くの国民は、「ゼロ金利政策」に対しても問題視することなく、単に、「景気が回復すれば、世の中はよくなる」と考えているようにも思われるのである。

しかし、これからの展開として考えられることは、前述のとおりに、「スカイネットの崩壊」ということであり、結果として、「さまざまな金融コントロールが効かなくなる」ということである。つまり、今後は「金利の急騰」や「円安」の状況が予想されるのだが、このことが意味することは、「目に見えない二つの金融ツインタワーが崩壊する」ということであり、実際には、「デリバティブ」と「国債」に関して、歴史的な崩壊局面を迎えるということである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降に起きていた「世界的なマネーの大膨張」が、いよいよ、終焉の時期を迎えるということだが、この時に考えなければいけないことは、「1971年以降の約40年間に、世界がどのように変化したのか?」ということである。つまり、「マネーの大膨張に踊らされて、世界中の人々が、我を忘れた状態に陥っていたのではないか?」ということだが、このことは、「お金さえあれば、何でもできる」と錯覚した状況のことである。

より具体的には、「現在の金融資産が、実は、絵に描いた餅にすぎない」という点に気付いた時に「現代人が、大きなショックを受ける」ということだが、実は、その時から、「新たな時代」が始まることも予想されるのである。