本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.11.17

野田首相の自爆テロ解散

11月16日に、野田首相が「衆議院の解散」を行ったが、このことは、「バカ正直解散」や「破れかぶれ解散」、あるいは、「自爆テロ解散」とも呼ばれているようだ。しかし、実際には、首相就任直後から危惧されていたように、「実務経験の少ない政治家が、自分の考えに固執して日本全体を混乱状態に陥れた」という状況でもあったようだ。つまり、以前の「永田議員の偽メール事件」と同様に、根拠のない考えを貫き通し、結果として、「民主党の崩壊」だけではなく「日本の崩壊」までをも引き起こす可能性が出てきたということである。

具体的には、「消費税の増税を実現すれば、問題はすべて解決する」というような考えに囚われ、「原発問題」や「東北の復興」などを無視したという状況でもあったのだが、実際に起きたことは、「日本の国家財政問題」を先送りすることだけに奔走し、「問題の本質から目をそむけた状態」でもあったようである。つまり、「国家の借金爆弾」については、規模を大きくするだけであり、「本質的な解決を怠った」ということだが、この結果として起きたのが、いわゆる「赤字国債発行法案の問題」でもあったのである。

別の言葉では、「40兆円強の税収」に対して「90兆円以上もの歳出」という、「誰が見ても、行き詰りが見えている問題」に対して、「根本的な解決策」ではなく、「消費税の増税という小手先の解決策」を選択したということである。そして、この点については、いわゆる「ポピュリズム(大衆迎合政策)」の問題も存在するようだが、これから問題になるのは「政治の混乱が生み出す通貨の信用失墜」だと考えている。

つまり、「自民党はこりごり、民主党はうんざり」というような報道からもお分かりのように、「日本国民は、政治家に対して、完全に信頼感を失った」という状況の後に、どのような展開が待っているのかということである。別の言葉では、「ばら撒き政策を行う政治家を選択し続けてきた日本人にとって、これから、どのような状況が待っているのか?」ということだが、歴史の教訓から考えられることは、やはり、「国民全体が、今までのツケを払う」ということである。

具体的には、「数年前のジンバブエ」や「20年ほど前のソ連」、あるいは、「終戦直後の日本」のように、「膨れ上がった国家の借金を、全て、紙幣で返済する」ということである。そして、今回の解散については、このような状況を引き起こすキッカケとなった可能性があり、実際には、「日本の自爆テロ解散」とも言えるようである。