本間宗究(本間裕)のコラム
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2012.11.26
無制限の資金供給
現在、先進国の中央銀行は「無制限の資金供給」を宣言し、多くの人も、この言葉を信用しているようだが、一方で、「どのようにして実施されるのか?」という具体策については、ほとんど理解されていない状況とも言えるようである。そして、「激化する金融混乱に対して、恐怖心だけが募る状態」にもなっているようだが、やはり、この時に必要とされるのが、「通貨」に対する「歴史的な認識」や「正確な理解」だと考えている。
具体的には、現在の「お金」が、「過去100年間に、どのようにして創られたのか?」ということであり、また、「今後は、どのような状況下で、価値が失われるのか?」ということだが、残念ながら、現在の経済学においては、この点が、ほとんど忘れ去られているのである。つまり、「実体経済」に関する研究が主であり、「マネー経済」に対しては、ほとんど議論されていない状況でもあるのだが、現実の相場においては、このような「貨幣論」や「金融システムに対する理解」が、今ほど必要とされている時期はないものと思われるのである。
そして、その理由としては、現代の「通貨」や「金融商品」が、単なる「絵に描いた餅」の状態となっており、「実際に使おうとしても、買う商品が存在しない」という状況だからである。つまり、「約10京円」とも言われる「現在のマネー」は、ほとんどが、コンピューターの中に存在する「単なる数字」へと変化しており、結果として、その金額に見合うだけの実物資産が存在しない状況とも言えるからだ。
しかも、このような状況下で、今後は、「無制限の資金供給」が行われようとしているのだが、このことが意味することは、「究極的には、紙幣上でゼロが増えるだけ」ということである。具体的には、「1万円札」に、一つ「ゼロ」を付けると「10万円札」になり、二つ「ゼロ」を付けると「100万円札」になるということである。つまり、「政府や通貨に対する信用が失われた国においては、必ず、このような高額紙幣が発行される」ということが、歴史が教える事実でもあるのだが、今回は、全ての先進国で、このような状況が展開されようとしているのである。
そして、この時に、「資産価値を保全する方法」としては、「貴金属や株式、そして、土地」などの「実物資産」へ投資することが「最善の方法」だと考えているが、この点については、今後、「ギャロッピング・インフレ」という「株価や商品価格が、急激に上昇する局面」に入った時に、はっきりと理解されるものと考えている。