本間宗究(本間裕)のコラム
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2012.11.26
歴史のアナロジー
現在の日本は、「明治維新前夜」の状況と、よく似ているものと考えているが、歴史を尋ねると、往々にして、このような「歴史のアナロジー(類似性)」に遭遇するようだ。そして、「温故知新」という言葉のとおりに、「過去のパターン」を研究することにより、「将来の姿」が、ある程度、見えてくるものと考えているが、このことは、今回の「政治の混迷」や「金融大混乱」についても応用できるようである。
具体的には、「明治維新により幕藩体制が崩壊した」という事実が、これから予想される「官僚支配体制の崩壊」に似ているものと考えているのだが、このキッカケとなったのが、坂本龍馬や山内容堂が推進した「大政奉還」でもあったのである。そして、現在では、「橋下大阪市長」が「坂本龍馬」の役割を果たし、また、「石原前都知事」が「山内容堂」と似たような役割を果たすのではないかと想定しているのだが、この時に重要な意味を持つのが、現在の「金融大混乱」とも言えるようである。
つまり、「幕藩体制」が維持できなくなった原因の一つとして、「幕府の財政難」が存在し、実際に、明治維新の前年には、極度の「インフレ」に悩まされたようだが、今回は、「円安の進行」と「日本国債の暴落」が大きな注目点だと考えている。具体的には、「100円程度にまで円安が進行する」というような事態に見舞われた時には、「日本の輸入物価」が上昇し、結果として、「現在のような超低金利の状態が維持できなくなる」という状況が想定されるのである。
しかも、現在では、「安倍自民党総裁」が、「日銀法の改正」や「無制限の資金供給」などを提唱しており、今回の選挙結果いかんでは、実際に、このような政策が実施される可能性も存在するのである。また、現在では、「日銀のバランスシート」が急拡大を始めており、その理由としては、「国債の大量買い付け」が指摘できるのだが、この事実が意味することは、「民間部門に資金的な余力が無くなった」とも考えられるようである。
このように、現在の日本は、いろいろな面で行き詰まりを見せ、間もなく、大きな転換が起きる可能性が高まっているようだ。つまり、今回も、「大政奉還」のような事態が起きる可能性が高まっているようだが、明治維新の時には、「最後の将軍」である「徳川慶喜」が、その役割を果たし、現在は、「今度の選挙で選ばれた首相が、その役割を果たす可能性がある」ものと思われるが、この観点からも、今回の選挙には要注目の状況とも言えるようである。