本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.12.7

2012年を振り返って

「2012年の相場」を振り返ると、結局のところは、「嵐の前の静けさ」の状況でもあったようだ。具体的には、「政治の混迷」が加速することにより、「国民の不安感」が高まったものの、まだ、「本格的な金融混乱が起きていない段階」ということだが、この点については、明治維新の時に、勝海舟が強調した「日本の四殺」の順番で、時代が展開しているようである。

つまり、三番目の「政事を以て、民を殺す」の次に来るのが、最後の「学術を以て、天下を殺す」ということだが、このことは、「高等数学を使うことにより、デリバティブを大膨張させた」ということであり、また、「デフレという言葉が誤解されることにより、結果として、国家債務が返済不能な金額にまで大膨張した」ということである。そして、「2013年」は、世界中の人々が、これらの事実に気付かされるとともに、今までの「ツケ」を払わされることが想定されるのだが、「2012年」は、基本的に、「人々に、危機的な状況を知らせるための年だった」とも言えるようである。

具体的には、「ドラギマジック」と呼ばれる「大量の資金供給」や、「日米の政府による無制限の資金供給」などを見ることにより、多くの人が、「このままで、本当に大丈夫なのか?」という疑問を持ち始めた年でもあったようだ。別の言葉では、「金融危機の本質」が理解され始めたことにより、「民間銀行の連鎖倒産」が引き起こす「大恐慌」の懸念が薄れ、一方で、「国家や通貨への信頼感」が激減することが原因となる「大インフレ」に対する危機意識が、急速に高まっているのである。

つまり、現在、我々が保有している金融資産は、単に「絵に描いた餅」にすぎず、この「お金」で、実際に「実物資産」を買おうとしても、見合うだけの「数量」が存在しないのである。そして、結果としては、「単価の上昇」という、本当の「インフレ」が発生することにより、一挙に、「実体経済」と「マネー経済」との「格差」が縮まることになるようだが、現在のような「1:20」という「違い」は「歴史上からも、稀に見るほどの大きさ」とも言えるようである。

そして、このキッカケとなるのが、「12月16日の選挙」だと考えているが、現在の「政治」については、まったく期待できない状況であり、本当の維新が起きるためには、「国民の一人ひとりが、他人のために行動する」という「本当の働き(傍の人を楽にする)」が必要とされているようである。