本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.12.25

日銀法の改正

今回の選挙で大勝した自民党は、安倍総裁を中心にして「日銀法の改正」を行おうとしているようだが、この目的としては、「日銀に対して、さらなる金融緩和を要請するため」という点が指摘されているようである。つまり、「日本の失われた20年」という言葉のとおりに、「バブル崩壊以降、日本経済が成長しなかったのは、日銀の金融政策に問題がある」という理解のもとに、「法律を改正して、日銀が更なる金融緩和を行えば、問題はすべて解決する」とも考えられているのである。

しかし、「過去20年間」に起きたことは、「財政政策」と「金融政策」の全てを行使しながらも、「日本経済が立ち直ることはなかった」という状況だったのである。そして、この理由としては、「ほとんどの資金が国債に流れ、民間部門はゼロ金利と円高により、窮地に陥った」という点が指摘できるのだが、これから、自民党が行おうとしていることは、「典型的なインフレ政策」とも言え、今後は、反対に、「前代未聞の規模で、大インフレが起きる可能性」が高くなっているのである。

つまり、「約130年前」に、歴史上、初めて創設された「中央銀行」である「日本銀行」の歴史を辿ると、実は、「赤字国債の発行」そのものが「法律違反の状態」だったのである。具体的には、「1965年」に、初めて「特例公債法案」が成立し、「本来は違法である赤字国債の発行が認められた」という状況だったのだが、今後は、「更なる法律改正」により、より一層の「無法状態」へと突入していくことが想定されるのである。

別の言葉では、「中央銀行を創設して、国家の金融政策を管理する」という行為自体が、実は、「100年ほどの歴史しか持たない、人類の偉大な実験だった」という可能性のことである。しかも、「1971年のニクソンショック」以降は、「市場による信用創造」が大量に行われ、結果として、「メガバンクに資金が集中し、世界の金融市場がコントロールされた」というような異常事態にもなっているのである。

このように、現在の自民党が目論んでいることは、もともと違法な手段である「赤字国債の発行」に加えて、名目上は合法的な「建設国債」を発行し、「実体経済を成長させる」ということである。しかし、この時の「盲点」としては、すでに大量発行された「赤字国債」に関して「信用失墜による価格の暴落」が起きることである。そして、この時には、今まで隠されてきた「さまざまな問題」が露呈するものと思われるが、このことを無理やり実行させるのが、「安倍首相の役割」とも言えるようである。