本間宗究(本間裕)のコラム

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2012.12.25

衆議院選挙が意味するもの

12月16日の衆議院選挙は「自民党の大勝」という結果に終わったが、この点については、マスコミの報道のとおりに、「必ずしも民意を反映するものではない」とも言えるようである。つまり、「低い投票率」により「組織票を持っている自民党や公明党に有利に働いた」ということや、「第三局の乱立」により「浮動票が、予想よりも効果を発揮しなかった」という点が指摘されているのだが、このことは、「国民が政治に対する信頼感を失った」という状況を意味するとともに、「次回の参議院選挙が、より大きな注目点になった」とも考えられるようである。

具体的には、「圧倒的多数」を握った「自公連立政権」が、「これから、どのような政権運営をするのか?」に、大きな注目が集まるとともに、これからの景気回復に対して、今まで以上の要求が出てくることが考えられるのである。つまり、大胆な「ポピュリズム(大衆迎合政策)」が実施されるものと思われるが、具体的には、「国土強靭化計画」により「10年間で200兆円もの資金が必要とされる」というような政策のことである。

そして、この点については、「今回の選挙による民意であり、国民は景気の浮揚を望んでいる」というような説明がなされ、現在では、「誰も、この意見に反対できないようなムードが醸成されつつある」とも言えるのである。つまり、「国民が、長期間の景気低迷にうんざりし、景気が良くなるならば、どのような手段でも受け入れる」という態度に変化しているようだが、実は、このようなムードの時に、本当の金融大混乱である「ハイパーインフレ」が起きやすくなるとも言えるのである。

別の言葉では、「日本」のみならず、「欧米」においても、全ての政策が行き詰まりを見せているために、今後は、「安倍首相が、危機突破内閣という名のもとに野放図な政策を実行する」というような状況が想定されるのである。そして、具体策としては、「財源を無視した大胆な公共投資」や「日銀による大量の国債買い付け」などが考えられるのだが、現在の「日銀のバランスシート」を考えると、このことは、「あまりにも無謀な行為」とも言えるようである。

つまり、現在では、「日銀」の同意のもとに「典型的なインフレ政策」が実行されようとしているのだが、現在の「株高」や「円安」は、インフレの第二段階である「ギャロッピング・インフレ」の始まりとも考えられるのである。そして、今後は、「約6か月後に、ハイパーインフレに移行することが危惧される段階」とも言えるのである。