本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.1.7

マグロ価格の経済学

1月4日に行われた「マグロの初セリ」は、マスコミの報道のとおりに、「1億5540万円」という史上最高値を更新し、日本中で大きな注目を浴びることとなったが、このことにも、大きな意味が存在しているようである。つまり、「現在の金融情勢を考慮すると、この価格は、決して、驚くべきものではない」ということであり、また、これからの「大インフレ」を予見するような出来事だった可能性が存在するからだ。

別の言葉では、「価格は、需要と供給とによって決定される」という「価格メカニズム」が働いた結果として、今回の史上最高値が付いたわけだが、この背景には、ほとんどの人が気付いていない、異常なまでの「マネーの大膨張」が存在するのである。そして、その一端を垣間見せたのが、今回の「マグロの初セリ」だったものと考えているが、今後は、いろいろな商品に、このような動きが起きることも予想されるのである。

具体的には、すでに始まった「円安」により、「海外からの輸入商品」が、大きく値を上げることも想定されるのだが、このことは、今まで「1万ドル」の商品に対して、「1ドルが80円」の時には「80万円の支払い」で済んだものが、現在のような「89円」にまで円の価値が下落すると「89万円の資金」が必要になるということである。しかも、より一層の「円安」が起きた時には、この金額が「90万円」や「100万円」にまで増えることも想定されるわけだが、この時に起きることは、「物価の上昇が、金利の上昇に繋がる」ということである。

つまり、「長期金利=短期金利+期待インフレ率」という考えから導かれることは、「今後、長期金利の上昇が起きる」ということであり、かつ、「国債価格の暴落が始まる」ということである。その結果として、「日本の国家財政」は、より一層、厳しい状況に追い込まれることになるようだが、「すでに、日銀は、紙幣の増刷を始めている」という状況下で、「更なる紙幣の大増刷を余儀なくされる」という事態も想定されるのである。

そして、このことが、典型的な「ハイパーインフレ」への道筋とも言えるのだが、究極的には、「初セリのマグロ」だけではなく、「全てのマグロの価格や、その他の食料品価格などが、1億円を超えるような状況」も想定する必要性があるようだ。そのために、現在の株価上昇に対して、単純に喜ぶだけでなく、今後は、「お金は、インフレで価値を失う」という点を理解しながら、同時に、来年の「マグロの初セリ」で、どれほどの価格が付くのかに注目する必要性があるものと考えている。