本間宗究(本間裕)のコラム
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2013.2.7
ギャロッピング・インフレ
現在は、「約5年間のリフレーション(通貨の膨張政策)」の時期を経て、「ギャロッピング・インフレ」の段階が始まったものと考えているが、市場では、この点に、大きな誤解が存在するようだ。つまり、「これからリフレーションの段階に入る」というような意見が散見されるのだが、現時点で起きていることは、膨大に膨れ上がった「マネーの歯車」が回転を始め、さまざまな商品価格を押し上げているということである。
別の言葉では、「国債の買い支え」が限界点に達し、「いろいろな市場へ資金が流れ始めている状況」とも言えるのだが、「実体経済」しか見ない人々にとっては、どうしても、この点の理解が難しいようである。つまり、「近代経済学の欠点」として指摘できることは、「マネー理論の欠如」であり、その結果として、「金融混乱の本質」が見えなくなっているということである。具体的には、「世界に、どれだけのマネーが存在し、これから、その資金が、どの商品に向かうのか?」という、「投資において、最も重要な点」が忘れ去られているのである。
つまり、現在では、膨大に膨れ上がった「世界のマネー」が暴れ始めており、結果として、「日本株は、記録的な上昇を始めている」という状況にもなっているのである。換言すると、「相場は世の鏡」という言葉のとおりに、「マネー理論」からは、当然の事が起きているのだが、「戦後の経済成長」だけを研究してきた人々にとっては、「通貨の堕落」や「通貨価値の減少」という「本当のインフレ」が理解できないようである。
このように、現在の「経済学」においては、「マルクス」や「ケインズ」が重要視していた「貨幣論」を考える人が「ほとんど皆無の状態」とも言え、結果としては、「デフレからの脱却」という言葉に惑わされてもいるようだ。しかし、現在、起きていることは、前述のとおりに、「ギャロッピング・インフレ」であり、その後に、「ハイパーインフレ」へと繋がることが想定されるのである。
より具体的には、「国債価格の暴落」や「円安の進行」により、「インフレ率」や「金利」が急上昇することが想定されるのだが、この時に起きることは、「実物資産の価格高騰」であり、「一時的な景気回復」とも言えるのである。しかし、実際には、現在の「金融システム」が崩壊を始めている状況でもあり、「これから、本格的な金融混乱が始まる」とも考えられるのだが、やはり、「ケインズ」の言葉のとおりに、「誰も気づかないうちに、通貨の堕落が起き、通貨制度の崩壊が起きる」という状況でもあるようだ。