本間宗究(本間裕)のコラム
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2013.2.7
不気味な昂揚感
現在の日本では、「不気味な昂揚感」が市場を支配しているようだ。つまり、「記録的な株価の急騰」に喜びながらも、その裏側で、「国家の財政問題」については、「ほとんどの人が、解決不能なのではないか?」と考え始めているからだ。別の言葉では、「なぜ、日本の国家財政は、これほどまでの悲惨な状態に陥ったのか?」という長期的な視点から、日本経済を考えながらも、一方で、「目先の株価上昇に、乗り遅れてはいけない」という短期的な考えも捨てきれないようにも感じられるのである。
このように、現在では、「日本」を始めとして、全ての先進国で、国家財政問題が、きわめて深刻な状況に陥っているのだが、今回、アメリカでは、国家債務問題の先送りに関して、たいへん注意すべき言葉が使われたようである。具体的には、「TEMPORARYSUSPENSION(一時的な棚上げ、停止)」という二語のことだが、実は、「1971年のニクソン・ショックの時にも、まったく同じ言葉が使われた」という指摘が、海外から出ているのである。
つまり、「ニクソン・ショック」の実情としては、「ドイツやフランスから、ドルではなく、金(ゴールド)による支払いを迫られた」という状況下で、「ニクソン大統領は、一時的に、金とドルとの交換を停止した」ということである。しかも、実際には、その後、42年間も、「一時的な棚上げ」が継続しているのだが、今回は、「米国の債務上限問題」について、同じような手法が繰り返される可能性が高まっているのである。
具体的には、「5月19日まで、債務問題を先送りする」という発表のことであり、現在では、「一時的な棚上げ」と考えられているのだが、この時には、「上限を引き上げたとしても、誰が、その国債を買うのか?」という大問題が存在するのである。つまり、今回は、「国債の増発」ではなく、「紙幣の増刷」により「国家の借金を棒引きにする」という方法が取られる可能性が高くなっているのだが、歴史上からは、「究極の解決策」とも言えるようである。
このように、現在の世界情勢に関して、「ハイパーインフレ」を予想する人々は、「貴金属」や「株式」などの実物資産を買い始めており、一方で、「国債を守る陣営」も、「打つ手がなくなり、インフレ政策を遂行しようとしている状況」とも言えるようだ。そして、このことは、今回の「世界的な株高」の後に想定される「ハイパーインフレ」の時に、はっきりと見えてくるものと考えている。