本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.2.18

北朝鮮の核実験

2月12日に、北朝鮮が「三度目の核実験」を行ったが、このことは、時代に逆行する動きであるとともに、アメリカや中国の「虎の尾」を踏んだ可能性があるようだ。つまり、「1991年のソ連崩壊」以降、世界各国が目指していることは、「核兵器の廃絶」であり、同時に、「3・11の大震災」により、「放射能汚染の恐ろしさを、世界中の人々が、改めて認識した」という状況でもあるからだ。

別の言葉では、「第三次世界大戦」が起きた場合には、「戦闘機」や「戦艦」などでの「戦い」ではなく、「核ミサイル攻撃」により「地球上に、人類が住めなくなる可能性」も存在するのである。そのために、今後は、「国連が、どのような制裁を北朝鮮に行うのか?」ということや、あるいは、「中国が、どのような態度に変化するのか?」を、よく見る必要性があるのだが、基本的には、「北朝鮮が望んでいることは、金一族の存続である」とも言えるようである。

つまり、「イラクのフセイン大統領」や「リビアのカダフィ大佐」などが、「どのような運命をたどったのか?」を参考にしながら、「核兵器を保有すれば、自分の地位や生命が保証されるのではないか?」と考えているようにも思われるのである。しかし、「仏の顔も三度まで」、あるいは、「三度目の正直」という言葉のとおりに、今回は、「アメリカに到達する核兵器」を保有した可能性も存在するために、「1962年のキューバ危機」の時と同様に、「アメリカが、何らかの行動に出る」という事態も想定する必要性があるようだ。

あるいは、「中国が、北朝鮮に対して、食料やエネルギーの供給を絞る」というような状況も考えておく必要性があるようだが、このような状況になれば、「金一族の支配体制」も、きわめて短期間の内に、崩壊する可能性があるものと考えている。このように、現在では、「軍事的、かつ、地政学的な危機」が存在するという点には間違いはないのだが、「世の中」や「相場」で起きることは、往々にして、「多くの人が予想していなかったこと」とも言えるのである。

つまり、誰もが、「そのようなことが起きるはずがない」と考えることが、過去20年間にも起き続けてきたのだが、具体的には、「銀行の不倒神話」や「終身雇用神話」などの崩壊のことである。そして、現在では、「預金さえ持っていれば安全だ」という、歴史上からは、まったく根拠のない神話が日本人を支配しているのだが、このことは、「金一族」が、「核兵器を保有すれば安全だ」と考えていることと似たような状況でもあるようだ。