本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.2.26

金の健全性

昨年の12月に、英国のエリザベス女王が、わざわざ「金の保管庫」を訪れて、国民に、「英国が保管する金の健全性」を証明したようだ。また、今年の2月には、アメリカで「FRBが保管する金」に対して「監査」が行われ、やはり、「米国が保管する金の健全性」が強調されたようである。しかし、海外では、これらのことに対して、一斉に、反論が出始めるとともに、「本当に、英米が保管している金は、大丈夫なのか?」という懸念が噴出し始めているのである。

つまり、「なぜ、エリザベス女王が、金の保管庫を訪れる必要性があったのか?」ということであり、また、「FRBが行った金の監査」については、実質上、「監査」と呼べるような代物ではなく、実際には、「内部担当者による報告にすぎない」というものである。しかも、最近のアメリカでは、「バーナンキFRB議長」が「金(ゴールド)は通貨ではない」とも言い切っており、この観点からは、「保管している金の健全性」を証明することは、「国家の信用力」や「金融混乱の終息」には、ほとんど意味を持たないことも考えられるのである。

しかし、現在では、「ドイツが、自国が保有する金を、アメリカやフランスから、自国へ移動させる」という発表を行っているように、「先進国の内部でも、金の健全性に対する疑問が出ている」という状況になっているのである。そのために、今回、「英米において、パフォーマンス的な行動が取られた」という状況でもあったようだが、「実際には、まったくの逆効果だった」とも言えるようである。

つまり、「アメリカやイギリスが保管する金(ゴールド)」に関しては、「より一層の疑問」が出るとともに、現在の通貨制度である「信用本位制」に対して、大きな疑問が出てきた可能性があるとも言えるからだ。具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、世界的に金本位制が崩壊しているために、現時点で、金の健全性を強調することは、反対に、「金が、本当の安全資産である」ということを、世界中に知らしめた可能性が存在するのである。

そのために、今後の「金価格」については、大きな注目をする必要性があるものと考えているが、結論としては、やはり、「2月に起きた金価格の急落」が、最後の調整局面となり、今後は、本格的なバブル相場が発生することが考えられるようだ。つまり、「国債価格の暴落」から、本格的なインフレが進行するということである。