本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.3.7

金融戦争における戦線縮小

過去10年間は、「先進国」と「新興国」との間で、「世界的な金融戦争」が起きていたものと考えている。具体的には、「日米欧」の国々が、「デリバティブの大膨張」と「国債の買い支え」により、いわゆる「デフレの状態」を作り出しながら、一方で、「中国」や「ロシア」、あるいは、「インド」などの国々が、「大量に金(ゴールド)を買い付けていた」という状況のことである。そして、現在では、「金を買う国々」が世界中に広がっているのだが、一方で、「金価格の上昇は、国債価格の暴落に繋がる」という危機感を抱いた先進国が、「必死になって、金価格を抑え込んでいる」ということが、海外の専門家が主張し続けてきたことである。

つまり、「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、すでに、「戦線の縮小」が始まっているとともに、間もなく、「終結の時期」を迎える可能性が高くなってきたとも考えられるのである。このように、「2007年の7月」以降、「世界の金融は、先進国の政府と一部のメガバンクによりコントロールされていた」ということが、徐々に明らかになっているのだが、このことは、「LIBORの不正操作」や「国債の買い支え」などのことである。

別の言葉では、「国債」のみならず、「株式」や「為替」、そして、「商品価格」の全てが、世界的にコントロールされていた可能性が存在するのである。しかも、この間に起きたことは、「先進国の国家債務」が大膨張しながらも、「デフレの時代だから、超低金利は当然の事だ」というような意見が出ることにより、「誰も、現在の異常な低金利に疑問を呈しなかった」という状況でもあったのである。しかし、現在では、「世界的な株価の上昇」が始まるとともに、多くの人々が、「超低金利から、どのようにして脱出するのか?」を考え始めているようにも思われるのである。

つまり、現在では、「金融のコントロール」において、「株式」や「為替」は、すでに、コントロール不能の状態となっている状況が考えられるようである。別の言葉では、「国債」と「金」との「戦い」に焦点が絞られてきたようだが、具体的な数字から考えると、どちらが勝利するのかは、明らかなようである。つまり、「時価総額が約800兆円」とも言われる「金」と、「時価総額が約8京円とも推定されるデリバティブや国債」とを比較すると、「これから、どちらの方向へ、世界の資金が流れるのか?」は、誰の目にも、はっきりと見えてくるものと思われるのだが、「どのようなバブルも、弾けなければ、その存在に気付かない」ということが「歴史の真実」とも言えるのである。