本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2013.3.16

日銀総裁の交代

3月20日に、「日銀総裁」が白川氏から黒田氏へ交代するが、白川氏の心中を察すると、半分は「安堵感」であり、半分は「忸怩たる思い」が存在するようだ。つまり、白川氏が行ってきたことは、「決して、紙幣の増刷を行わない」ということであり、「この方法により、日本円の健全性を保ってきた」とも言えるのである。別の言葉では、「欧米各国」が「無謀な金融政策」を実施しながら、「中央銀行のバランスシート」を大膨張させる中で、「日銀は、本来の中央銀行としての役割を果たしてきた」ということだが、世の中の流れには逆らえず、今回、「安倍首相により、辞任に追い込まれてしまった」とも言えるようである。

また、今後は、「黒田新総裁」を中心にして、日本も、欧米各国と同様に大量の資金供給が行われることになるようだが、この時の注目点は、「いったい、どのようにして、日銀の資金を賄うのか?」ということである。具体的には、「3月10日」の時点で、「総額が約166兆円」、「国債の残高が約122兆円」という金額にまで達した「日銀のバランスシート」を、「今後、どのようにして管理していくのか?」ということである。しかも、現在では、「当座預金が約43兆円」、そして、「売現先勘定が約31兆円」という規模にまで膨らみながら、「日銀券の発行残高」に関しては、「約82兆円」の規模で抑えられているのである。

つまり、「綱渡り的な管理を行いながらも、国債を大量に買い付ける」という政策を実行してきたわけだが、本来は、「このような行為に対しても、白川氏は反対すべきではなかったのか?」とも考えられるようである。別の言葉では、「国家の借金を減らすために、日銀は、国債の買い付けに協力しない」とでも宣言すべきだったようだが、「時代の流れ」は、往々にして、「流れに反対する人を排除する」という傾向があるようだ。つまり、「バブル」と同様に、「行き着くところまで行かないと、人々の認識が追い付かない」ということであり、「バブルが弾けた時に、初めて、バブルの存在に気付く」ということである。

このように、今回は、世界的な「信用バブル」が根本的な問題であり、すでに始まったものと思われる「ギャロッピング・インフレ」が、更に進行することにより、最後には、「世界通貨の価値が、大きく損なわれる」という事態が予想されるのだが、この点については、「黒田新総裁が、大量の紙幣発行を行った時に、はっきりと理解される」という状況が想定されるようだ。しかし、その時には、すでに、「ハイパーインフレ」がスタートしている事態が考えられるのである。