本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.5.8

弱気から強気への転換点

昨年の11月14日から、現在の強気相場が始まったのだが、過去のパターンから言えることは、「弱気が強気に転じるためには、約6か月の期間が必要だった」ということである。つまり、「下げ相場」において「空売りで利益を得た投資家」は、なかなか強気に転換することができず、「約半年の期間を経て、ようやく強気に転ずることが多かった」ということである。具体的には、「1992年」や「1995年」、そして、「1998年」の転換時に起きたことが、「空売りで成功した投資家」は、「上昇過程においても、過去の残像に囚われ、売り残高を積み上げることが多かった」ということである。

そして、このような人々が、「相場の強さ」に気付き、「弱気」から「強気」に転換したのが「底値から約半年後」というタイミングだったのだが、今回も、同様の状況が考えられるようである。つまり、「ヘッジファンド」などを運用している人々は、今回の株価上昇についていけず、依然として、「ロング・ショート」と呼ばれるような、「売りと買いとのポジションを同時に持つ」という手法を採用しているものと思われるからである。

このように、半年前までは、誰も「日本株の上昇」を信用せず、多くの投資家が、「利益を指すことよりも、損失を出さない」という方法を模索していたのである。つまり、「オルタナティブ投資のバブル期」とも言えるような状況だったのだが、「相場の醍醐味」としては、「20年以上も下げ続けてきた日本株が、いったん上昇に転じると、これほどまでの強気相場が示現する」ということであり、また、「今後も、より一層の上昇相場が期待できる」ということである。

そして、今後の注目点としては、「約7兆円以上も存在する貸株残高が、これから、どのような結果を迎えるのか?」ということだが、かりに、この部分が、「機関投資家による空売り」だとすると、底値から6か月後の「5月相場」が、大きな注目点になるものと考えている。つまり、「1兆円の買いで、日経平均が1000円程度上昇する」という経験則からは、今後、大きな株価上昇が見込まれるからである。

しかも、今回は、「グレートローテーション」と呼ばれる「世界的な、債券から株式への循環」の他に、私が想定する「最も大きな上昇要因」として、「現代の通貨や政府に対する失望感」が存在するようだが、この時には、「多くの資金が、一斉に、実物資産に殺到する」という状況が想定され、実際には、「株価上昇による資産効果」ではなく、「世界的な換物運動」とでも呼ぶべき状況が想定されるようである。