本間宗究(本間裕)のコラム
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2013.6.7
量的緩和の縮小
現在では、「量的緩和の縮小」が懸念され始めているが、この時のコメントを見ると、まさに、「理屈の罠」とも言える状態に陥っているようだ。具体的には、「景気の悪化」を示す指標が出ると、「量的緩和」が継続する期待が出るために、「株価が上がった」と考えられているのである。つまり、「景気が悪いから、株価が上昇した」と言わんばかりの状況でもあるようだが、このことは、極めて短絡的な意見であり、実際には、まったく違ったことが起きているものと考えている。
具体的には、「量的緩和の縮小」が意味することは、今まで行われてきた「中央銀行のバランスシートを大膨張させて、国債を買い支える」という、いわゆる「リフレーション政策」が、すでに「行き詰りの状態」になっているということである。そのために、「出口戦略」や「秩序ある撤退」が模索され始めているようだが、この時の問題点が、「どのようにして、長期金利をコントロールするのか?」ということである。
つまり、「黒田日銀総裁」も認めているように、「短期金利とは違い、長期金利はコントロールが難しい」ということであり、実際には、「国債の買い支え」が終了した時には、「長期金利が、一挙に、急騰する(国債価格は下落)」という状況が想定されるのである。そのために、「徐々に、金利を上昇させる」という「秩序ある出口戦略」が考えられているようだが、「5月23日」以降の金融市場を見ると、「思惑とは、まったく違った動きになっている」とも言えるのである。
具体的には、「日銀のバランスシート」において、「5月20日」から「5月31日」までの期間に、「総額」と「国債保有残高」、そして、「当座預金残高」が「7兆円」以上もの増加となっているのである。つまり、月間ベースでは「約20兆円」という計算になるほどのスピードで、「日銀が、大量に国債残高を増やしている」ということが見て取れるのだが、一方で、「国債価格」については、「今までとは違い、上昇のスピードが遅くなっている」ということも理解できるのである。
別の言葉では、「金利の上昇に慌てた黒田総裁が、慌てて、国債の残高を増やしている」という状況が考えられるようだが、この結果として、再度、「プログラム売買」が誘発されたようである。つまり、「円高、株安、そして、国債価格の上昇」ということだが、この点については、現在、「大きな歪み」が発生しており、実際には、「力任せの円高や株安」に関して、間もなく、大きな反動が来るものと考えている。