本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.6.17

錦の御旗

6月13日に発表された「川崎重工業の社長交代」については、たいへん驚かされたが、実際には、マスコミの報道のとおりに、典型的な「クーデター」でもあったようだ。つまり、「権力者」である「社長」の暴走に対して、「会社のため」という「大義名分」を掲げて、役員が反乱を起こしたようだが、このことは「現代社会の縮図」とも考えられるようである。つまり、今後は、いろいろな「組織」や「システム」で、同様のことが起きるものと考えているが、具体的には、「北朝鮮」などであり、現在では、「権力の暴走」から「民衆の抵抗」が起きる可能性のことである。

また、このような「クーデター」については、過去の歴史において、頻繁に見られたことでもあったのだが、「明治維新」の時の「官軍から賊軍へ」という大転換も、一種の「クーデター」だった可能性があるようだ。つまり、「黒船の到来」以降、「幕藩体制の行き詰り」が明らかになっていながらも、依然として、「徳川幕府」は、「旧来の体制を維持すること」に奔走していたのである。

そのために、「新興勢力」である「薩長土肥の連合軍」の企みにより、「鳥羽伏見の乱」が起きたものと考えているが、この時に力を発揮したのが「錦の御旗」だった。そして、結果としては、「その年が明治元年となり、新政府が創られた」という状況でもあったのだが、このことを、現在に置き換えると、いろいろな点が見えてくるようである。

つまり、現在の「資本主義」についても、「約250年」という期間にわたり継続してきたのだが、実際には、「行き過ぎたマネーの大膨張」により、ほとんど「制度疲労の状態」になっているからである。また、このような状況下で起きていることは、「国債を守る陣営」と「金を信用する陣営」との間での、激烈な「金融大戦争」だと考えているが、残念ながら、日本では、ほとんど理解されていないようである。

そのために、今後は、何らかの「錦の御旗」が出現することが想定されるようだが、このことは、「民衆の不満」ではないかと考えている。つまり、「自分の生活」に不安感を抱いた民衆が、「雪崩を打ったように、一挙に、新たな勢力に加わる」というような事態のことだが、このことは、すでに、ヨーロッパから始まったようである。具体的には、「キプロスの財産税」をキッカケにして「ヨーロッパの人々が、慌てて、金や銀を買い始めた」という状況のことであり、間もなく、「日米でも、同様の事態が発生する可能性」が高くなっているものと考えている。