本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.6.26

借金まみれの経済成長

6月23日に、「BIS」という「中央銀行を統括する銀行」が衝撃的なレポートを発表したが、その題名は「先送りされた時間の有効活用」というものであり、内容としては、9ページにわたり、「2007年以降の金融政策」を詳しく述べたものだった。そして、結論としては、「2007年の金融混乱以降、世界の中央銀行は、前代未聞の金融政策を行ってきたが、この政策が実施されていなかったら、世界の金融システムは、簡単に崩壊していたはずだった」とコメントしながら、同時に、「先送りされた時間を有効活用すべきである」というものだった。

しかし、一方では、「歴史的観点からは、国債価格の暴落は、突如として発生する」とも述べており、現在、すでに始まったものと思われる「世界的な国債価格の下落」に対して、警告を発しているのである。また、「中央銀行のバランスシート」は、「過去6年間で、10兆ドルから20兆ドルへと倍増している」ともコメントし、結局は、過去数年間の世界経済が、「借金まみれの経済成長」だったことを示唆しているのである。

そして、実際に起きたことは、「労働生産性の低下」であるとともに、「巨大な規模での資産配分の歪み」であると結論付けているのだが、このことは、「世界経済」を脆い体質にするとともに、「市場の突然の変化」に対して、大きなリスクを内蔵しているともコメントしているのである。また、「中央銀行の限界」についてコメントしながら、「過剰な債務に対する危機感」も述べているのだが、今回の注目点は、「なぜ、今になって、このようなレポートが出てきたのか?」ということでもあるようだ。

つまり、数年前から、私が警告してきたことが、ようやく、公式に認められたものと考えているが、現在では、「時すでに遅し」という言葉のとおりに、「全くの手遅れ状態」とも言えるのである。別の言葉では、過去6年間の「リフレーション政策」により、「世界の債務残高」が限界点にまで膨らんでおり、今後は、この反動が気にかかる状況でもあるのだが、これから想定されることは、過去のパターンのとおりに、「マネタイゼーション」という「国債の現金化」しか存在しないものと考えている。

そして、結果としては、世界中の人々が、「通貨」や「国家」に対する「信頼感」を失い、慌てて、「換物運動」に走り出すことが考えられるようだが、今回のレポートは、そのことを「後押し」するようなものであり、今後の「ハイパーインフレ」に対して、「お墨付き」を与えたようなものだと考えている。