本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.7.5

金融の大地震

今年のキーワードは「サイバー空間から現実へ」だと考えており、この点に関する大事件が「8月から9月頃」に発生するものと予想しているが、現在では、その「予兆」となる事件が発生しつつあるようだ。具体的には、「イタリアのデリバティブ問題」であり、また、「日銀のバランスシート」などのことだが、これから想定される出来事は、世界中の人々が驚くほどの「金融の大地震」ではないかと考えている。

つまり、「英米の銀行が保有するデリバティブ」に関して、何らかの事件が発生する可能性のことだが、現在の状況としては、「イギリスが約3.4京円」、そして、「アメリカが約2.2京円」という驚くべき金額の「デリバティブ(金融派生商品)」を、依然として保有しているのである。そして、この点に関して、「イタリアと同様の損失が発生している」と仮定すると、それぞれ、「約1京円」や「約6600兆円」という、とんでもない金額の損失が計算できることになるのである。

また、今まで、「これほど大規模の金融商品が生み出され、かつ、その存在を隠すことができた」ということの原因としては、ひとえに、現在の通貨制度が「信用本位制」となっており、また、「主要な通貨」が「デジタルマネー」へ変化したという点が指摘できるようである。しかし、今後の注目点としては、「現代のお金」である「デジタルマネー」は、「サイバー空間の中でしか、力を発揮できない」ということであり、その結果として、この事実が、今後の混乱を引き起こす直接の原因になりうるのである。

このように、現在では、「デリバティブ」と「国債」という「目に見えない金融ツインタワー」がそびえ立っている状態でもあるのだが、この時に、「マネタイゼーション」という「紙幣の増刷」が始まると、「コンピューターネットワークの中は、紙幣は流れることができない」という厳然たる事実に突き当たらざるを得なくなるのである。そして、その時には、「金融ツインタワーの崩壊」という激震が起きることが予想され、その結果として、「インフレの大津波」が、世界中を襲う可能性があるものと考えている。

つまり、「3・11の大震災」のような状況が、間もなく、「世界の金融界を襲う」という可能性のことだが、基本的には、世界中の人々が、「お金さえあれば大丈夫だ」と錯覚したことに、「金融大混乱」の根本的な原因が存在するようだ。そして、その後に、「人々の覚醒」が起き「新たな時代」が始まるものと考えているが、これから想定される「金融の激震」も、ほとんどの人が気付かないうちに発生する可能性があるようだ。