本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.7.16

加速する「金融のメルトダウン」

現在では、以前に言われた「金融のメルトダウン」という言葉が忘れ去られるとともに、「異次元の金融緩和」や「量的緩和の縮小」などに、人々の関心が集まっているようだ。つまり、「金融危機」の本質が見失われ、表面的な「マスコミ報道」に右往左往している状況とも言えるようだが、実は、現在、きわめて「危機的な局面」に遭遇しており、間もなく、何らかの「大事件」が起きることも想定されるのである。

つまり、「人々の認識」と「現実世界」との間に「大きな乖離」が発生した時に、「認識の差」が埋まるような事件が発生するものと考えているが、実は、このような状況が、「2008年のリーマンショック」の時にも発生したのである。そして、実際の事件を見ることにより、多くの人が、「現実世界で、どのような事が起きているのか?」を深く認識し、その後から、新たな展開が始まったのだが、今回は、今までにないほどの規模で、「現実と認識の乖離」が起きているようである。

具体的には、「金融のメルトダウンが、きわめて重大な局面に差し掛かっている」ということだが、実際には、「デリバティブの損失」から始まった「金融危機」が、私が想定する「金融の逆ピラミッド」において、その下の「債券」や「預金」の部分を突き抜けて、いよいよ、「紙幣」の部分にまで到達しようとしているからである。より具体的に申し上げると、今まで「黒田日銀総裁」が行ってきたことは、「日銀の当座預金」を膨張させることにより、「国債の買い支え」を行ってきたのだが、理論的には、「この方法は、預金の部分を、急速に不良債権化する政策」とも言えるのである。

そして、間もなく、「民間銀行から短期資金を調達する」という「当座預金の増加」ではなく、「発行金額に限度が存在しない日銀券の発行」へと、「資金調達の方法」が変化するものと考えているが、この時に起きることが、私の想定する「大事件」である。具体的には、すでに始まった「世界的な金利上昇」に歯止めが効かなくなり、「国債価格の暴落」が起きた時に、「世界的に、大量の紙幣増刷が始まる可能性」のことだが、同時に起きることは、「英米の銀行が保有するデリバティブ」に関して、「損失が表面化する可能性」とも言えるようだ。

このように、8月から9月に想定されることは、「サイバー空間から現実へ」という大変化だと思われるが、この時に起きることは、「世界の資金が、急速に、貴金属や株式などの実物資産へ流れ込む」ということだと考えている。