本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.8.6

耳順の歳

論語では、「六十歳が耳順の歳」と言われているが、私自身も、この年齢に近づき、ようやく、この意味が、少しだけ理解できたようにも感じている。特に、今回のように、「権力の暴走」が起き、「天地自然の理」が歪められたような相場を見たために、より一層、この思いが強くなっているのだが、基本的には、「世の中で起きること」や「自分自身に関する出来事」を、すべて受け入れることが、「耳順」が意味することだと考えている。

別の言葉では、「天は、その人に必要なものは、全て与えてくれる」ということであり、その時に、「人智」と「天意」の「違い」を理解することが、「耳順」のようにも思われるのである。つまり、「自分にとって都合の悪い出来事」が起きると、今までは、「なぜ、このような非合理な事が起きるのか?」と考えがちになっていたのだが、具体的には、「日米のゼロ金利政策」や、「LIBORの不正操作」などのことである。

しかし、現在では、「全てのことには意味がある」という考え方に変化し、今回の「権力の暴走」にも、大きな「天意」が存在したようにも感じられるのだが、具体的には、「世界中の人々に、大きな気付きを与えるためだったのではないか?」ということである。別の言葉では、「老子の第36章」にあるように、「最初に権力を与え、強くするものの、力がピークに達した時に、その力が失われる」という状況が起きているようにも思われるのである。

具体的には、「明治維新」の時の「官軍から賊軍へ」という変化のことであり、また、「第二次世界大戦」の後の「軍国主義から民主主義へ」という大転換のことだが、今回も、「お金の力」を極大化し「世界の金融がコントロールされた」という状況を見せた後に、「大きな転換」が起きる可能性が高まっているようだ。つまり、「世界中の人々が、単なる数字を、最も大切なものである」と考えている状況から、一挙に、「現代の通貨や金融商品は、絵に描いた餅にすぎない」ということが理解できるような「大事件」が起きる可能性のことであり、そのために、今まで、「人智では考えられないほどの、きわめて異常な相場」が発生した可能性があるものと考えている。

特に、現在の日本人にとっては、「世界の金融商品が、一握りのメガバンクによって、コントロールされている」ということなどは、まったく想定外のことでもあるようだが、これから「大きなショック」を受けることにより、「気付き」が「築き」へと変化し、「新たな時代が」始まることが考えられるようようである。