本間宗究(本間裕)のコラム
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2013.8.15
商品市場のデフォールト
現在、海外では、「商品市場における債務不履行(デフォールト)」が、大きな注目点になっている。具体的には、「シカゴ」や「ロンドン」などで、「現物の受け渡しができなくなる可能性」が指摘され始めているのだが、この理由としては、大量の「空売り」が存在することに根本的な原因があるようだ。つまり、今年の「4月」から「6月」にかけて起きた「金価格の暴落」に際して、「ペーパーゴールド」という「先物やデリバティブなどによる、数字上の取引」が、大きな「売り要因」になった可能性があるわけだが、この結果として、「貴金属」などの在庫が大幅に減少するとともに、「決済」に関して、「現物の受け渡し」ができなくなる可能性まで出てきたのである。
そして、「なぜ、このような事態に陥ったのか?」という点については、「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」の存在が指摘されているのだが、具体的には、「国債を守る陣営が、デフレを演出するために、無理矢理に、金価格を押し下げた可能性」のことである。別の言葉では、「中国」や「金」に対する「ネガティブ・キャンペーン」を実施することにより、「世界経済の悪化」や「金価格の値下がり」が、大々的に宣伝されてきたのだが、この結果として、現在では、多くの「鉱山会社」が、赤字操業に陥り始めているのである。
このように、現在では、「貴金属の価格が、不当な水準にまで売り叩かれた」という疑念が存在するとともに、「需給関係」に「大きな歪み」が発生した可能性があり、結果として、「現物が、市場から消え始める」という状況が発生しかかっているようである。つまり、「買い手」が、数多く存在し、一方で、「売り手」が激減するような状況が生み出されているわけだが、かりに、「債務不履行(デフォールト)」が、貴金属市場で発生した場合には、大きな混乱が引き起こされることになるようだ。
具体的には、「LIBORの不正操作」に続き、「金価格までもが不正に操作されていた可能性」が発覚した場合には、世界中の投資家が、「貴金属価格の異常な割安さ」に気付き始めるということである。そして、一方では、現在の「通貨」に対して、大きな疑念が出始めることにより、世界中の投資家が、一斉に、資金を「貴金属市場」に移動し始める可能性が存在するのである。
つまり、「無いものねだりの価格急騰」が、今後、「貴金属市場」で起き始める可能性が出てきたのだが、このことが、いわゆる「ボトルネック・インフレ」という「劇場で、突然に、火事が起きる状態」のことである。