本間宗究(本間裕)のコラム
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2013.8.25
「4000本」対「8000本」
8月22日に、「イチロー」が、日米通算で4000本安打を達成したが、この時のコメントには、たいへん感激するものがあった。具体的には、「4000本安打の裏側には、8000本以上もの失敗がある」というものであり、この時に感じたことは、「イチローにとって、本当に興味や関心があるのは、成功よりも失敗の方ではないか?」ということだった。つまり、イチローが追求し続けたことは、「なぜ、ヒットが打てなかったのか?」ということであり、「常に、失敗を反省し続け、また、常に、改良を続けた」という結果として、今回の「4000本安打」が存在するようにも思われるのである。
別の言葉では、「野球」だけに限らず、「投資」や「ビジネス」、あるいは、「人生」においても、「失敗は宝物」という言葉が、たいへん重要だと考えているのだが、このような態度を取り続ける限り、「成長の限界点」は存在せず、「常に、進歩を続けることができる」ようにも思われるのである。つまり、イチローが「引退」する時が訪れようとも、「後輩」や「後世の人々」に、「常に挑戦する態度」を教えることができたわけであり、世界中の人々が、このような態度を身に着けた場合には、「いろいろな分野で、新たな挑戦が継続される可能性」が存在するからである。
しかし、翻って、現代社会を見てみると、「人々のサラリーマン化」が、広く行き渡った結果として、「ほとんどの人が挑戦を忘れ、単に、表面上の成功だけを追い求める社会」になったようにも感じられるのである。つまり、「4000本安打」にだけ注目し、「8000本以上もの失敗」については考えようともしなかったということであり、また、「自分自身の生活」においても、「目先の成功」だけを追い求め、「臭いものには蓋をしながら、失敗の理由については、考えようともしない」という態度のことである。
そして、このような人々が、世の中に広く蔓延した結果として、「結果」や「成功」の象徴とも言える「お金」が、人々の「最大の関心事」になったのだが、現在では、「数百年に一度」の「大逆転現象」が起きようとしているのである。具体的には、「文明法則史学」が指摘する通りに、「西洋の時代から東洋の時代へと、大きく転換している」ということだが、この時に、触媒の役割を果たすのが、「マネーの大膨張」と「経済の金融化」だったのである。具体的には、「西暦400年前後のローマ帝国」や「西暦1200年前後の宋の時代」と同様に、「通貨制度の崩壊により、世の中が、大きく変化する」ということだが、基本的には、「先送りされた借金爆弾の破裂」が起きた時に、世界中の人々が、「なぜ、このような事態に陥ったのか?」を考えることになるようだ。