本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.8.26

ピークゴールド

現在、海外では、盛んに「ピークゴールド」という言葉が使われ始めているが、このことは、「世界の金生産量が、すでに大天井を付け、今後は、急速に減少する」というものである。具体的には、「人類が、有史以来、掘り出した金が約17万トンであり、また、埋増量は、6万トンから8万トン程度にすぎないのではないか?」ということである。しかも、この時に、「鉱山の品位」が急速に低下しており、現在では、「世界の10大金鉱山」において、「中間品位が、トン当たり1.1グラムにまで低下した可能性」まで指摘され始めているのである。

つまり、「通貨の根本」とも言える「金(ゴールド)」や「銀(シルバー)」において、現在、「生産量」に関して重大な変化が起きるとともに、「世界的な奪い合い」が発生しているのだが、現在の日本人は、ほとんど、この点に無関心であり、また、「自分には関係のないこと」だと考えているようである。別の言葉では、「通貨の歴史」が忘れ去られた結果として、「一万円札」や「預金の数字」だけに関心が集中しているようにも思われるのだが、お隣の「中国」を始めとして、「インド」や「ロシア」などの国々は、現在、「今まで以上に、金(ゴールド)を集めている」ということが見て取れるのである。

そして、この理由としては、現在、世界の「金融システム」や「通貨制度」が、「きわめて危機的な状況に陥っている」という点が指摘できるのだが、残念ながら、現在の日本では、この点が、ほとんど無視されているようである。つまり、「消費税率を上げれば、国家の財政問題は片付くのではないか?」というような意見や、あるいは、「経済を成長させれば、国家債務は減少するのではないか?」というような意見が主流となっており、「世界的な金融混乱」については、ほとんど理解されていないようにも思われるのである。

別の言葉では、今回は、「自然災害」ではなく、「人災」である「金融の大地震」と「インフレの大津波」が訪れるものと考えているのだが、実際には、「ほとんどの日本人が、聞く耳を持たない状況」とも言えるようである。つまり、「3・11の大震災」の前に、「原発は安全である」という意見や「津波が来ても、原発が壊れることはない」という考えに染まっている人が多く、結果として、甚大な被害に繋がったという状況が、現在に重なって見えるのである。そのために、今回の「金融大混乱」については、同じ失敗を繰り返さず、できるだけ多くの人が、「備えあれば憂いなし」という状態になることを望んでいるのだが、現時点での感想としては、「実際に被害に遭わないと、実情が理解できない」という状況でもあるようだ。