本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.9.5

「金融コントロール」と「価格操作」

8月28日の「ブルムバーグ」で、「為替市場の価格操作」が問題視され始めたが、この記事によると、「為替市場は、最も規制が行き届かない市場であり、また、最も不明瞭な取引が行われている可能性がある」とのことであり、「現在、世界市場における為替取引は、一日で約400兆円にも達する」とも述べられているのである。そして、「約50%が、4行によって取引されている」とも指摘されており、この時に、「価格操作」の可能性が存在するとも疑われているのだが、このことは、以前の「LIBORの不正操作」に続く、「金融コントロールの実情」が暴露された記事だと考えている。

具体的には、「約8京円から約10京円」とも言われる「デリバティブ」に関して、「約7割が金利関係の取引であり、また、約2割が為替取引」というように、「世界の金融市場」においては、「約9割」が「金利」と「為替」に関する「金融商品」とも言えるのである。そして、これらの市場において、「価格操作」が行われているとすると、「世界の金融は、一握りの金融機関によってコントロールされている」という指摘が、いよいよ、現実味を帯びてきたものと思われるが、現在の日本では、ほとんど、この点が考慮されていないようである。

そして、表面上の報道に惑わされ、単純に「デフレ」や「景気悪化」などを信じ込んでいるようだが、実際に起きていることは、「レーガン時代に財務長官補佐を努めたポール・クレイグ・ロバーツ博士」が指摘するように、「アメリカの金融界は、無法状態に陥っている」という状況でもあるようだ。具体的には、「連邦の権威」を利用して、「複数のメガバンク」が、「過去に例のない、きわめて異常な取引」を実行している可能性のことだが、実際には、「4月から6月に起きた、金価格の売り叩き」などのことである。

また、このことが、過去の歴史で、頻繁に見られる「権力の暴走」だと考えているが、「勧善懲悪」という言葉のとおりに、「最後には、悪人が滅び、善人が勝利する」というパターンが、今回も繰り返されることになるようだ。つまり、現在、人気の「半沢直樹」というドラマのとおりに、「善人が、何度も何度も、痛い目に合う」という状況の後に、「ようやく、悪人の悪事が暴かれ、正義が勝つ」ということである。

ただし、今回の「金融コントロール」については、「数十年」という単位で事態が展開し、最初は、「善い事」と思われた「マネーの大膨張」が、最後には、「悪事」となったようであり、この点には、大きな注意が必要だと感じている。