本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.9.17

金融の竜巻

最近の日本では、全国各地で「竜巻」が発生しているが、「竜巻発生のメカニズム」を研究すると、「戦後の日本経済」、あるいは、「現在の金融混乱」と、ほとんど同じ状況とも言えるようである。つまり、「自然現象」の場合には、「地上で暖められた空気」が「積乱雲」を形成するものの、その後、「上空の冷たい空気」によって冷やされることにより「渦」となり、「地表に急速に落下し、竜巻になる」という「メカニズム」のことである。

そして、「社会現象」である「金融の竜巻」については、「約60年」という時間をかけて、ゆっくりと展開するのだが、基本的には、「戦後の高度経済成長」が、「地上の暖められた空気」に相当するようである。つまり、「1950年」当時は、「GDPが数兆円」、そして、「マネー経済も同等の規模」という状況から、その後、「1980年には、約240兆円のGDP」にまで膨れ上がったのだが、この結果として起きたことは、「人々の意識変化」であり、「経済が成長するのは、当然の事である」という「新たな認識」でもあったのである。

つまり、この意識が存在することにより、「実体経済の成長」が止まった後に、「マネー経済の大膨張」を引き起こしたようだが、このことが、「金融面の積乱雲」であり、特に、「1980年以降に大膨張したデリバティブ」の存在が指摘できるようである。その結果として、「2007年」から「世界的な金融大混乱」が始まったのだが、このことは、「膨張の限界点に達したデリバティブが、急速に不良債権化する様子」や、その後の「量的緩和」により、「国債価格が下落しないように、ありとあらゆる手段が使われた」という状況を表しているようである。

しかし、いったん始まった「金融のメルトダウン」については、「竜巻のダウンバースト」と同様に、決して、「力で収束できる」というような性質のものではなく、間もなく、「金融システム」において、「紙幣」や「金(ゴールド)」などを、「竜巻となって、地上高く舞い上げる」という結果をもたらすものと考えている。そして、このことが、過去100年間に、30か国以上で発生した「ハイパーインフレ」の正体とも言えるようである。

そのために、今後の注目点は、すでに始まった「世界的な金利上昇」、あるいは、「中国を始めとした世界的な景気好転」だと考えている。特に、「バルチック海運指数の急上昇」などにより、再度、「中国が、世界経済の牽引役になる」というような意見が出ることにより、「世界的な株高や貴金属価格の暴騰」には、大きな注意が必要なようである。