本間宗究(本間裕)のコラム

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2013.11.15

日本の個人金融資産

現在、日本には、「約1570兆円」もの「個人金融資産」が存在すると言われている。そして、多くの人は、この資産の存在により、「日本の国力」や「財政の健全度」を強調しているようだが、「過去15年ほどの相対的な推移」を考えると、実に、不気味な事実が見て取れるようである。具体的には、「世界の金融総資産」と「日本の個人金融資産」との「相対的な力関係」のことだが、実際に起きたことは、「日本の個人金融資産」は、総額的に、ほとんど変化が起きなかったという状況でありながら、一方で、「世界の金融資産」は、この間に、「約10倍」という規模にまで大膨張したのである。

そのために、できるだけ単純な数字で、この間の変化を考えてみると、「15年ほど前」には、「世界の金融資産が、総額で約1京円だった」ということが理解でき、また、「個人の金融資産が約1500兆円」と考えると、この比率は、「約15%」という状況でもあったのである。つまり、「日本の個人投資家」は、世界において、たいへん大きな位置を占めていたのだが、現在では、この比率が、急低下しているのである。具体的には、「世界の金融総資産」が「約10京円」という莫大な金額にまで膨らんでいながらも、一方で、「日本の個人金融資産」は、総額で、ほとんど変化がなかったために、現時点では、全体の「約1.5%」にまで「相対的な力」が激減したということである。

また、この理由として挙げられることは、「信用創造のマジック」とも言えるようだが、実際には、「新たな資金の創造」という「信用創造」ができる主体が、「富を獲得する」ということである。具体的には、最初に、「デリバティブ(金融派生商品)」を大量に生み出した「アメリカ」と「イギリス」へ「富」が移転し、また、「2007年」以降は、「世界の中央銀行」が、「総資産を、約1000兆円から2000兆円へと倍増させた」という事実により、「国家へ、実質的な富が移行した」という状況でもあったのである。

このように、日本人の「虎の子」とも言える財産が、実際には、「実質的な価値」を、大きく減少させており、この事実が意味することは、「どれだけの商品と交換できるのか?」を意味する「購買力」が、大幅に減少しているということである。つまり、これから、日本人が、貴金属などを購入しようとしても、「購買力の減少」により、「今までよりも、はるかに少ない数量しか買えなくなっている」ということである。しかも、現在では「現物の枯渇」により、「実際に買える商品が少なくなっている状況」でもあり、今後、更なる円安が加速した時に、いやでも、この事実に気付かざるを得なくなるようだが、問題は、「いつ、この事実に気付くのか?」ということでもあるようだ。