本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2013.12.25

政府による資産没収方法

海外では、「政府による、国民資産の没収方法」が議論され始めているが、実際には、「いろいろな方法」が存在し、現在の「ゼロ金利政策」も、その一つと考えられているのである。具体的には、「国民に払うべき金利」を低くすることにより、「国民の資産」が、「国家」や「民間銀行」などの「救済」に当てられているということである。また、「増税」や「年金給付額の引き下げ」についても、「国民の資産が、国家へ移転する」という状況であり、実際には、「国民資産の没収方法の一つ」とも理解されているのである。

このように、「国民が気付く手段」による「合法的、かつ、直接に資産が没収される方法」については、現在の日本国民も理解しているようだが、その他に、「国民が気付かないうちに、いつの間にか、資産が没収される手段も存在する」と考えられているのである。具体的には、「国債の発行」は「将来の税金」であり、現時点では、多くの人が危惧し始めているのだが、この他にも、「日銀のバランスシートの拡大」も、実は、「国家による資産没収」と考えられているのである。

つまり、現在の「異次元の金融緩和」というのは、「日銀のバランスシート」を急拡大させながら「国債を買い付ける」という方法のことだが、実は、この時に、「国民」から「国家」への「富の移転」が発生しているのである。そして、このことが、海外では、「国家による富の没収」と考えられているのだが、現在の日本人は、「アベノミクス」という「金融政策」であり、「国民にとって利益になる政策である」とも理解されているようである。

別の言葉では、「安倍首相や黒田日銀総裁は、国民のためになる方法を選択している」という理解のことだが、実際には、「全く逆の理解」が、海外では中心になっているのである。つまり、「日銀のバランスシートが急拡大する」ということは、実は、「増加分が税金と同じ効果を持つ」という考え方のことであり、確かに、「国民が知らないうちに、国民の資産が、実質的に減少していた」という観点からは、「資産没収の一方法」とも言えるようである。

また、この時にも、「二つの方法」が存在するものと考えているが、実際には、「当座預金の増加」による「国民が気付かず、また、インフレを誘発しない方法」と、もう一つは、「紙幣の増刷による、インフレを誘発する方法」のことである。そして、現在では、後者の方法へと、はっきりと、政策転換が行われた可能性が高まっているのだが、問題は、「この時に、どれだけ日本人が大慌てをするのか?」ということである。