本間宗究(本間裕)のコラム
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2014.1.16
覇権国家を目指す中国
「2013年」の「中国による金(ゴールド)の輸入」は、きわめて凄まじい動きだったようだ。具体的には、「上海市場において、年間で、約2200トンもの金が、現物で引き出された」とも推測されているのだが、この数量は、「中国を除く、年間の生産量に匹敵する」とも言えるからである。つまり、「年間の生産量が、約2600トンから2700トン」という状況下で、「世界最大の産金国である中国の生産量は、約400トンだった」とも言われており、この点を考慮すると、「中国を除いた世界の産金量が、約2200トンから2300トン」という事実が理解できるとともに、「2013年」は、「中国が、世界全体の生産数量に匹敵するほどの金を購入した」という計算になるのである。
そして、「なぜ、中国が、このような行動を取っているのか?」という点については、やはり、「世界の覇権国家を目指している」とも考えられるようだが、ご存じのとおりに、「過去数百年間の世界」を見ると、「約100年ごとに、世界の覇権国家が移行している」という事実が見て取れるのである。具体的には、「19世紀のイギリス」から「20世紀のアメリカ」へ「覇権」が移行し、また、その前には、「フランス」や「スペイン」などが、「世界の最強国家」だったのである。
また、「覇権国家」としての必要条件は、「強大な軍事力」の他に、「強固な金融システム」でもあるようだが、「20世紀のアメリカ」は、「1950年頃に、世界の金(ゴールド)の半分程度を保有していた」という状況だったのである。そして、このような「強大な経済力」を背景にして、「貴金属」や「穀物」などの主要産品が、「ポンド建て」から「ドル建て」へと移行していったのだが、現在の中国は、まさに、この当時のアメリカの姿を追求しているようにも思われるのである。
つまり、一説では、「現時点で、8000トンから1万トン程度の金を保有しているのではないか?」とも言われるほどの「大量の金」を保有するとともに、「強大な軍事力」の保有に努めているからである。そして、今後は、現在の覇権国である「アメリカ」の没落を待っているようにも思われるのだが、実際に、「時間の経過とともに、アメリカの力が弱まり、中国の金輸入数量が増えている状況」になっているのである。
そして、今後は、「世界的な国債価格の暴落」とともに、「金の重要性」が増してくるものと思われるが、この時の問題点は、「本当に、今までのような形で覇権の移行が起きるのか?」ということであり、実際には、「数多くの問題」が存在するようである。